感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
99
シェイクスピアの「テンペスト」をセゼールが翻案した作品。原作、評論も併録され読み応えがあった。原作は既読だったが、今回ネグリチュード(アフリカ黒人固有の文化風土意識)を念頭に再読してから本編へ。元々、プロスペローによる復讐劇の印象が強かったが、改めて読むとキャリバンとエアリアルの二人の隷属的な姿と台詞に目がいく。それこそがセゼールの視点。翻案作では、奪われていた彼ら自身の言葉で主張させる。さらに結末も違う。永続する植民地主義、科学主義への反抗。それにしても多様な切り口で解釈できる原作の奥深さにも感服した。2024/04/27
ゆずきゃらめる*平安時代とお花♪
2
マンガ「絶園のテンペスト」を見てどうしてもシェイクスピアのテンペストというものがどんなものか知りたくて借りました。戯曲だから読みにくかったけど要するに裏切られたことも全て許してみんなが自由になり幸せになるっていう話みたいです。2012/12/12
工藤 杳
0
比較文学ってなに?という問いにに対しては、これを一冊。テクストが侵犯しあう。刺激的。2017/04/18
リバティ
0
喜劇の特徴である結婚についてできるだけ書かないようにしているように思える。キャリバンのセリフが増え、キャリバンがプロスペローに縛られず言葉を発していると感じた。2024/02/14
moti moti
0
本書に掲載されている評論は一つを除いて全てジェンダーに言及している。解説によると、マリーズコンデはセゼール版のキャリバンをつまらないと評したそうだが、残念ながらそのとおりだと思った。結局のところ、あの時代の黒人男性革命家は、白人男性に取って代わりたいだけだったのか。伝統を根こそぎにされ、参照できるものが白人男性の世界だけだったという事情はあるにしても。キャリバン的革命家と違い、旧宗主国を利用しつつ、現在の支配者を乗っ取って高度な民主化を達成した李登輝はエアリエル的か。キャリバンの国は幸せか。2023/05/30
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