内容説明
母親に名前さえ呼んでもらえない。「That Boy(あの子)」から、ついには「It(それ)」と呼ばれる―。「なぜぼくだけが?」米カリフォルニア州史上ワースト3の児童虐待を体験した著者が、赤裸々に語った壮絶な日々の記録。
目次
プロローグ 救い出された日
第1章 幸せだったころ
第2章 ぼくは悪い子?
第3章 何か食べたい
第4章 ナイフ
第5章 父さんが帰らない
第6章 祈り
エピローグ ロシア川のほとりで
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みゃーこ
58
あまりにも残酷すぎる。被虐待者本人による手記。これほどまでに虐げられた子供がなおも健全な精神状態を維持しサバイバルし続けるというのはほとんど信じがたい奇跡だと思う。味わった苦痛に対してほんの少しのサポートを糧に生き伸びることへの健全な解釈へと転じることは普通では無理だ。でも奇跡的なことに彼は希望と自尊心を自らの力で支えようと懸命に生きた。読むのも辛い自らの経験によって世界を憎むのではなく、彼より恵まれたはるかに多くの人たちにとっての希望への勇気を絶えず鼓舞させるために自らの経験を語ることを選んだ。2015/05/11
ころりんぱ
41
兄弟の中で自分だけがなぜこんな扱いを受けるんだろう。優しかった母さんが、次から次へ僕を痛めつけるのはなぜだろう。父さんや兄弟たちはなぜ助けてくれないのだろう。痛いよ。寒いよ。お腹減ったよ…家族の中でも孤独。学校へ行っても孤独。よくぞ生き延びたと思った。死ぬほどの虐待を親がしてしまう、信じられないほどの状態にある子どもが現にいるのだという事を多くの人に知らしめた本なのは間違いない。大事なのは、なぜそれが起きてしまうのか、被虐待児が虐待の連鎖を断ち切るにはどうしたらいいか、だと思う。続編に期待。2014/03/05
のんすけ
28
虐待されてた子供からのお話は、壮絶で厳しい。なぜ母親が豹変したのか、虐待されている子供からの視点では語られていないが、内容があまりにも残酷で辛かった。特に異物を飲まされるところはきつい。著者が結婚して父親になっていると読み安心した。三部作だそうなので、続き読みます。2014/03/31
のんき
26
子どもの目から見た児童虐待のお話し。子どもを虐待するシーンは、読むのが辛かったです。暴行を加えたり、食事をあたえなかったり、「おまえなんて「IT」よ!いないのといっしょよ、死ねばいいのよ!」母親のナイフのような言葉が子どもに突き刺さります。子どもは、物じゃないのに。心を持った同じ人間なのに。児童虐待が少しでも減るといいのですが2017/02/27
はる
23
昔漫画版を読んだことを覚えてる。何度読んでも描写が痛すぎる。日本でも何度も上がる虐待問題。子どもという弱くて責任の持てない存在を守る大人はどこなのか。2020/02/23