内容説明
家族・親族などの親密な集団はいかに成り立ち、国家やグローバル社会の中で「われわれ」と観念される集団が直面する経験とは何か。「わたし(たち)」と「彼ら」が現代において互いを想像する舞台とはいかなるものなのか。家族、先住民、メディア、暴力、ビジネス、国際法…人と人が共に在ることの論理と倫理を民族誌の現場から問い直し、秩序生成のために排除される存在との対話を試みる。
目次
第1部 人のつながり(モノのやりとりと「家族」の紐帯―パプアニューギニア・アンガティーヤでの人のつながり方の一断面;提喩的想像の多層性―ガーナ南部における「われわれ」の生成 ほか)
第2部 抑圧と周辺性の諸相(バナバ人ディアスポラによる二つの故郷の同一化―集合的記憶の操作による先住性の領有;「植民地」という状況―カナダ先住民サーニッチが「インディアン」として現代を生き抜くということ ほか)
第3部 まなざしの交差する場(選挙とジャーナリズム―ベナン大統領選挙をめぐる語りの多様性について;不安定な今を生きる―ケニアの人々が語る「2007年選挙後暴動」と国際刑事裁判 ほか)
第4部 人類学の再構想(別様でもありえた学、別様でもありうる学―作動中の人類学をめぐる試論;忘却のかなたのエヴァンズ=プリチャード―「共犯」の人類学へ)
「対話」と「論理」来たるべき世界(民の自己決定―先住民と国家の国際法)