内容説明
平家琵琶にはじまり、その後は音曲だけでなく鍼按にもすぐれた才能を発揮した盲偉人と呼ばれる人たち。その中でも塙保己一は立志伝中の人物としてとくに知られている。現代で言うところの“落ちこぼれ”であった盲少年(後の保己一)が、ついには最高位の総検校にまで出世を遂げることができたのはなぜか。盲偉人ら先人たちが歩み、何百年もの歴史の中で培った盲人社会の伝統と自助の精神が、保己一とそれに続く人びとを生んだ。塙保己一とともに日本の盲人史をたどる。
目次
第1部 保己一を支えたもの(学問を志す者として;検校の地位を利用した大事業 ほか)
第2部 世のため、後のために(ときを同じく出版された『令義解』;聖徳太子十七箇条憲法にいだいた疑問 ほか)
第3部 保己一に続く人びと(受け継がれる盲人史の伝統;盲人発明のタイプライター ほか)
第4部 生きる力を身につけさせた教育(落ちこぼれを出さない教育;伝統的な教育から就学の義務化へ ほか)
著者等紹介
堺正一[サカイショウイチ]
昭和18(1943)年、埼玉県川越市に生まれる。早稲田大学第一法学部、同教育学部卒業。埼玉県立高等学校及び養護学校に勤務の後、埼玉県立盲学校(現「塙保己一学園」)等の校長を歴任。この間に埼玉県教育委員会勤務。社団法人温故学会研究員。現在は立正大学社会福祉学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
B.J.
13
<偉人>あの三重苦のヘレン・ケラーが尊敬していたのが、なんとこの塙保己一。2014/12/12
まつけん
1
我が郷土埼玉の「三大偉人」の一人「塙保己一」の生涯を中心に日本の盲人史を伝える一冊。隣町(本庄市児玉町)出身の偉人ということで、ある程度知っているつもりでしたが、全盲でありながら「群書類従」の編集・発行という偉業を成しただけでなく、「世のため、後のため」という人生観、そして、卑下せず、驕らず、ありのままに生きたという在り方が偉人といわれる所以であると知りました。感謝! ちなみに埼玉「三代偉人」のあと二人は、「日本資本主義の父」渋沢栄一(深谷市)と「日本初の公許女性医師」荻野吟子(熊谷市妻沼町)です。 2018/08/16