内容説明
人工臓器(じんこうぞうき)ということばは、日頃わたしたちがあまり耳にする言葉ではないかもしれません。でも、人工透析やペースメーカー、あるいは白内障のレンズ、歯の治療で使われているインプラントと言い換えたなら、どうでしょうか。これらはすべて人工臓器の仲間なのです。人工臓器には人工心臓や人工腎臓など、いのちに関わるものから、眼内レンズや人工歯根、人工関節のように生活を手助けするもの、さらには人工視覚や人工神経のように最近とくに研究が進みつつあるものまであります。この本を読みすすむうちに、こんなものまで「人工臓器なの?」ときっと驚くにちがいありません。と同時に、人のために尽くすその姿に親しみや感動を覚えるのではないでしょうか。
目次
序章 はじめて知る人工臓器
第1章 暮らしの中の人工臓器
第2章 休むことなく体中に血液をめぐらせる―ハイテクメカと機能性材料が可能にする循環系人工臓器の世界
第3章 体内の化学反応の調整と体液の浄化―生体機能の解明が生み出した代謝系人工臓器の世界
第4章 音や光を守りたい感覚情報の脳への橋渡し―五感を取り込み電気信号に変える感覚器系人工臓器の世界
第5章 からだを形づくる、ささえる、まもる―材料の特性に依存した構造系人工臓器の世界
終章 人工臓器の未来図を描く―大学・企業開発の現場から