内容説明
川。学校。祭り。わが家。山里に生きる知恵。何百年と受けつがれてきたつつましい暮らし…当たり前にあるものが突然、なくなる国。ふるさとを追われる民。ほくそ笑む国土交通省。なぜだ?どうすればいい?「辺土」に育った人間の一人としてザックを背に水没予定地でただ独り阻止運動をつづけている老人に会いにいく。
目次
第1章 ダムに抗する村
第2章 森と川の恵をうけて
第3章 さまざまな生業
第4章 棄郷と帰郷
第5章 新天地にて
第6章 土建屋国家からの脱却
著者等紹介
和賀正樹[ワガマサキ]
1958年、和歌山県新宮市生まれ。熊野の国で育つ。早稲田大学で社会教育学を学ぶが、身につかず。在学中、第二次世界大戦の日本人戦没者の遺骨収集で沖縄、ルソン、レイテ、ウェーク、ベラウ、マリアナ諸島をめぐる。2000年、『週刊金曜日』ノンフィクション大賞報道文学賞を受賞。沖浦和光桃山学院大学名誉教授に師事。日本とインドネシア島嶼の民俗のフィールドワークに従事している
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感想・レビュー
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にっとろべ
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沈む農村。田舎者なだけに土地への愛着がよく分かる。故郷を追われた人々を思うと、ダムを訪れてはしゃいでいた自分が恥ずかしくなった。観客民主主義とは本当にその通りで、いざ自分に降りかからないと頭の端に置いておくこともないとは、情けないと思った。アメリカやドイツのように環境整備に力を入れることの大切さに皆気付けばいいのに。2012/12/08
としゆき
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苫田ダムを訪れたのを機に。あの静かな湖面の下に、多くの人の生活が沈められてしまったのか。国交省のあさましいやり方には、あいた口が塞がらない。国家が、住民の意思を無視して生活の場を奪うようなことが、今でも行われていることは肝に銘じたい。苫田ダムは2005年からの稼動だったかな。2011/12/06