感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
310
シリーズ第12巻はクライスラービルの登場である。1930年5月に完成。設計者はウィリアム・ヴァン・アレン 。完成後、約1年間は世界一の高さを誇っていた。これをいともあっさりと抜き去ったのが、かのエンパイア・ステートビルディングである。もちろん、高ければいいというものではないが、今マンハッタンに立って眺めてもスカイスクレイパー群の一つにしか見えない。ところが、これはアール・デコ建築の傑作なのである。外見から最も目立つ特徴は頂部アーチの金属的な輝きと意匠だろう。だが、よく見ると細部には鷲の頭部の装飾が⇒2022/04/05
夜間飛行
84
クライスラービルは大恐慌のさなかに完成し、高さ世界一を誇ったという。目を引くのは最上層のステンレス・アーチとジグザグの窓および内部のアール・デコによる豪華な装飾だ。それは1930年頃の工業デザインの粋ともいうべき徒花であるようだ。こうした建築は、自由経済競争から生まれながらそこからはみ出していく《余剰の蕩尽》であり、都市の欲望を束ねる象徴的機能を担ったという。アール・デコは短命に終わったが、都市の欲望は尽きることがない。世界一の高さを継ぐワールド・トレード・センターを、あの惨劇が襲うと誰が予想し得ようか。2019/07/11
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