目次
1
2 車庫
3 感情
4 小型犬
5 バナナ
6
著者等紹介
上田信治[ウエダシンジ]
1961年生まれ。俳句を、2004年ごろから作り始める。2007年から「週刊俳句」の運営スタッフ。「里」会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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5
うつくしさ上から下へ秋の雨/秋彼岸晴れてゆらゆら火がもえて/冬の水いまにも眠りそうな人/オレンジの断面冬の世田谷区/橋の雪湯作り落ちぬ川面まで/すぐそこに灯台のある葱畑/よこむきに飼はれてゐたる兎かな/つの出して夜の田螺は悪いもの/夏の月ひとの裸はほほゑまし/火を焚いて砂浜の名が分からない/今走ってゐること夕立来そうなこと/CDのセロファンとれば雨か雪/みみず鳴く町にすべての草は濡れ/水はくりかへす明るさ冬木立/菊咲けよ小学生は手がきれい/アメリカの秋の感じで抜ける釘/馬たちは問題がない秋の海2018/10/23
あなた
2
この句集の栞文にも書かせてもらったけれど、「今走つてゐること夕立来さうなこと」の「今」を今でもずっと考えている。俳句ってみるものなのに「走」っていて、カメラのようにその瞬間を刻印するものなのに、走ってるせいで、「今」が「今」としてこの今もつきまといつづける句。俳句ってなんだろうと根っこのほうから突きつけられる。もしくは、みること、かくこと、はなすこと、ってなんだろう。わたしたちはいつもどの「今」にいるんだろう。あなたに「元気?」といった場合、それはいつの「今」なんだろう。おしえてください。2021/11/25
うっかり
1
様々なものをフラットな目で見ることができる人だと思った。 おだやかな言葉選びが多い中で「美」や「しあわせ」といった半ば陳腐化されている、或いは畏怖の対象として使いづらい言葉をさらりと使っている。2018/04/27
豆ぐみ
1
2017年、邑書林。第一句集。好きな句は〈夏みかん鈴生り車庫の口四角〉〈トロ箱にぎつしり土や梅雨の月〉〈音楽を鳴らして冬の海へ行く〉〈きうりもみ池は雨ふる前の色〉〈鶺鴒や雨はガラスに水となり〉〈影がもう秋で干されてビニル傘〉など。(私の好みなのでこれらの句がこの句集の特色をあらわした句というわけではないです。自選句らしい帯の句とかぶってない)2018/01/03