内容説明
自然科学であると同時に、生活・実用の学でもあった本草学―その総合的な知の全容にくまなく光をあてる、碩学渾身の決定版論集。
目次
第1部 日本本草学の歩み(古代日本とクスリ;『本草綱目』以前;『本草綱目』の世界 ほか)
第2部 日本本草学の世界(林羅山と『新刊多識編』―日本名物学の種を蒔く;中村〓(てき)斎と『訓蒙図彙』―本草学を絵筆に描く
貝原益軒と『大和本草』―日本本草学を樹立する ほか)
第3部 日本本草学への小径(名とモノ―民俗・言語の学としての本草学;本草学―自然を読み解く視座;本草学と日本語の海―畔田翠山と『古名録』 ほか)
資料(小野蘭山『飲膳摘要』(影印)
岩崎潅園『武江産物志』(翻刻))
著者等紹介
杉本つとむ[スギモトツトム]
1927年横浜生まれ。文学博士(東北大学)。早稲田大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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志村真幸
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本書でとりあげられているのは、林羅山『新刊多識編』、貝原益軒『大和本草』、小野蘭山『本草綱目啓蒙』、畔田翠山『古名録』越谷吾山『物類称呼』など。 中国から日本へ本草学が導入されるとき、もっとも問題となったのは中国書に出てくる植物名と日本に生えている実際の植物との対応関係であった。それが「名」と「物」ということである。その点を日本の本草学の本質と喝破した点に価値がある。本書では、さらにふみこんで日本国内でも地方ごとに異なる植物名に、本草家たちがいかに関心を向け、記録したかを洗い出そうと試みている。 2021/04/24