内容説明
縄文時代の埋没林やクリの巨木建築、農具・装身具・食器・弓矢・丸木船などなど、遺跡からもたらされた木材を手がかりに、森の国日本の人々が育んできた森との関わり・木の文化を語る。
目次
序章 植生史を明らかにする―木の化石にとりつかれて
1章 氷河期の森を復元する
2章 最終氷期から縄文時代へ、気候の変遷
3章 縄文時代の森の変遷
4章 縄文人による木材利用と植生改変
5章 縄文時代の木材利用
6章 縄文の巨木文化とクリ
7章 弥生時代―現在と弥生時代の結節点
8章 針葉樹三国時代―鉄と律令の世界
9章 日本の森林の未来
付章 木材化石の種類を調べるには
著者等紹介
鈴木三男[スズキミツオ]
1947年福島県白河市生まれ。1970年千葉大学文理学部卒業。農学博士(東京大学)。東北大学理学研究科教授。同附属植物園園長。植物系統学、植物解剖学、古植物学が専門。特に木材組織の比較解剖学が専門で、中生代白亜紀、新世代第三紀および第四紀の木材化石から現生樹木の木材まで広く扱い、白亜紀の被子植物の起源群の木材構造の特性の解明、日本の第三紀の広葉樹木材化石フローラ、木材化石群集による第四紀の古植生の復元と人間の木材利用など、化石の研究を進める一方、ヒマラヤ地域、オセアニアの樹木の木材構造の解析により南北両半球での木材構造の進化を追っている。(社)日本植物園協会会長。仙台市在住
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
梵
1
使い捨てプラスチックに代表される“安直な大量消費”が支配的な現代。目先の便利さばかりを求め、長期的な汚染による不利益を見逃しているこの構造は、まさに安直! 駅や街の再開発も、安直な消費社会の象徴にしか見えない。表面だけ整えたハリボテのようなデザインではなく、森林なのかビル街なのか、もはや境目のない次世代都市を見てみたいし、そういう街を支える一市民で有りたい。 それこそ本書で触れられていた通り「有り余るスギ木材をふんだんに使うこと」で“呼吸“が感じられる空間を作ることを、本気で考えるべきだと思う。2025/05/28
Masashi Taniguchi
1
日本人にとって長く、最も重要な資源であったのは木材だ。縄文人の持続的な資源利用に関する話は面白かった。栗林の再生試験は結果が気になるところ。2016/07/16