内容説明
アジア地域のプラントハンターとして有名な英国人アーネスト・ヘンリー・ウィルソン。1914~19年の間に日本も訪れ、サクラやツツジを西欧に広め、日本の植物学の発展にも貢献した。屋久杉の切り株“ウィルソン株”は彼にちなんで名づけられている。彼は植物を発見・採集するだけではなく、多数の写真を残していた。そこには、劇的に変わった景色や暮らし、今なお変わらぬ木々の姿がある。
目次
第1章 Tokyo Cherry トウキョウ・チェリー
第2章 Public Park 公園という名の近代
第3章 Living Fossil 東京のシンボル、イチョウ
第4章 Tokyo Botanic Garden 小石川植物園
第5章 Kingdom of Gardening 園芸の都
第6章 Holiday Resort 行楽地の賑わい
第7章 Spring Charm 武蔵野の春
著者等紹介
古居智子[フルイトモコ]
大阪生まれ。北海道大学卒。国費留学生として米国マサチューセッツ州立大学に学ぶ。札幌でのフリーライター、雑誌編集者の経験を経て、1988年から米国ボストンを拠点にジャーナリストとして活躍。1994年屋久島恋泊に移住。2001年NPO法人屋久島エコ・フェスタを設立。環境保護活動に励みながら、日本と欧米の交流史や屋久島の歴史、文化、自然などをテーマに執筆活動を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Roko
22
100年前に英国からやってきたアーネスト・ヘンリー・ウィルソンは、恐るべき好奇心と探求心の持ち主でした。彼が日本へ訪れた時期は、第一次世界大戦が勃発した頃です。そんな時節に家族と共に極東への調査旅行をしようと考えること自体が凄いですが、彼が日本で見つけた植物の数の多さにも驚くばかり。植物を採取することだけでなく、写真で記録を残そうと考えたところが彼の素晴らしい点です。沖縄からサハリンまで、日本全国の写真を残しました。それらの写真はハーバード大学アーノルド樹木園に残され、その数は7千枚にものぼるそうです。2021/04/27
みかりんご。
4
【図書館】プラントハンター・ウィルソンが来日した際の写真を、彼について調査している著者がまとめた一冊。◆ウィルソンといえば屋久島のウィルソン株!その彼が1914年(大正時代)に帝都・東京と、その近郊の植物を撮影していて、その当時の風俗がよくわかるの。植物(主に桜や杉など)の傍らに立つモデルは、士官候補生(軍人?それにしては若い)が多いと思う。彼が残した写真と現況写真を見比べると、当時の個体が現存していたりして、そこへ行って見てみたいな。神田川は、桜並木⇒首都高速道路の橋脚部分に。味気ない…。2019/11/17
kaz
1
プラントハンターとあるとおり、東京の風景ではなく、東京および近郊の樹木等の写真。大正時代の植物の様子が丁寧に記録されているが、そもそも樹木等なので、対象物自体は現在と大きな違いが無いものも多い。街並みや人々の服装がもう少し写っていれば、現在との対比が面白かったであろうとは思う。 2019/06/21