目次
1 水の列車(水の列車;飛雨 ほか)
2 幻想烽火(幻想烽火;寒風 ほか)
3 胎内懐疑(寅返り犬;胎内懐疑 ほか)
4 幻影枝(爾後;雪月夜 ほか)
著者等紹介
糸田ともよ[イトダトモヨ]
1960年6月19日札幌市に生まれる。86年、詩人永井浩のもとで現代詩を学び、92年、文芸雑誌の選歌欄への投稿をきっかけに、選者福島泰樹の勧めで「月光の会」に入会し歌作を始める。93年、朝日カルチャーセンターにて講師菱川善夫による現代短歌講座を受講。受講生らと翌年、同人誌「弓弦」を創刊。99年、十二号(終刊)まで参加。その後は歌誌「月光」のみを作品発表の場として現在に至る
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感想・レビュー
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田中 綾
2
雪解けの水の列車に乗り水のマフラーほどく初めのカーブ / 糸田ともよ / 北の生活者が待ちこがれる、雪解けの季節。けれども、この歌の作中主体は「水のマフラー」をまとい、「水の列車」で旅を続ける魚のような幻想世界の人。水中という視座から、ヒトの世を静かに見つめることで、新しい観点を提示しているのだ。水温が少し上昇した気配を「初めのカーブ」ととらえ、マフラーをほどき、さあ、次なる駅へ。 (2017年3月4日(土)北海道新聞に掲載) 2017/03/04
春永睦月
0
形にはならず、けれど確かに在るもの。初めてこの「列車」に触れた時に目に焼き付いた一首を引用します。 /蘇る風の舞踏家葩(はな)を捥ぎ水の列車を埋めつくすまで/水の列車「幻枝痛」より/ 花=葩。それは祝福である。 新たな旅に出る者への。