内容説明
1860年、パリで創刊された旅行専門誌『世界周遊』は、肩のこらない読み物に一流画家による挿絵をふんだんに織り込んで、未知の世界に対する読者の興味をひきつけた。鎖国というベールを脱いだばかりの極東の島国に対する関心はことに強く、日仏修好通商条約全権団に随行して江戸に入ったモージュ侯爵の印象記をいちはやく掲載している。本書は、このほかに、いずれもフランス海軍士官の手になる冒険譚を「箱館戦争生き残りの記」「明治七年の富士山登山」と題して訳出し、幕末維新期の日仏の意外な出会いにスポットをあてる。
目次
1 日仏修好通商条約―全権団随行員の日本観
2 箱館戦争生き残りの記
3 明治七年の富士登山
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
15
「有隣新書?新書には詳しいつもりだったが聞き慣れない新書だな」と思い手に取ってみたがこれがなかなかの当たり。明治維新前後、「世界周遊」というフランスの紀行雑誌に乗った、日本で活動したフランス人たちの回想や手記が収められているのだが、これが通商条約の全権団員、箱館戦争で旧幕府軍側にいた士官、そして明治維新後の富士登山記と、維新前夜、内乱、そして維新以後と時期がバランスが良く、目的と著者に応じて文章の雰囲気もがらっと変わっている。旅行記なので情景描写も鮮やかだし、フランス人目線の維新の肌感覚も伝わる見事な一冊2018/11/03
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