内容説明
ル・アーヴルは、かつてヨーロッパで最も美しい港といわれモネが“印象、日の出”を描いた築港の街。しかし第二次世界大戦下、連合軍が上陸を目指すノルマンディー地方のこの港町は英独両軍の爆撃で壊滅。アルジェリアまで疎開した多くの子供達がいた。この物語は、当時のル・アーヴルを舞台に、避難命令の出た一九四〇年六月十日から子供達がアルジェリアから引き揚げてくる。一九四五年八月まで、二つの家族の8人と友人が大人も子供も、それぞれが一人称で語るコーラス小説である。著者の母と祖父母はル・アーヴルの出身。地道な取材で沈黙する年長者の話を聞いて執筆。フランスでは読者賞をはじめ12の賞を受賞。戦時下、犠牲を強いられる一般市民の苦悩を克明に描く。
著者等紹介
クオン,ヴァレリー・トン[クオン,ヴァレリートン] [Cuong,Val´erie Tong]
1964年パリ郊外生まれ。パリ大学、ソルボンヌ大学文学部で文学と政治学を学ぶ。8年間企業(マスコミ)で働いた後、執筆活動に入る。ロックグループを立ち上げ作詞ヴォーカル担当。家族は夫と3人の子供。『ビッグ』1999年ナイル刊。『魔法のスレート』2010年ストック刊、フェミナ・ヴァージン・メガストール賞。『奇跡のアトリエ』2013年ラテス刊、楽観主義賞、ヴァンドーム高校生によるロンサール賞、ニース天使のベイ賞。『ル・アーヴルの愛』(本書)2017年ラテス刊、マンス図書館賞、カーン科学技術文芸アカデミー賞、雑誌ボヌール賞、2018年セーヌ・マリティム読者賞、フランス読者賞など12の賞に輝く。2021年フランス政府より芸術文芸部門のシュヴァリエ賞受賞
薮〓利美[ヤブサキトシミ]
1943年徳島県生まれ。大阪外国語大学(現大阪大学)卒。1967年パリ大学ソルボンヌ文学部IPFE(Institut de Professeurs de Fran〓ais `a l’´Etranger)留学、1974年と2004年同養成所に復学。1977年ニューヨークコロンビア大学文学部で外国語教授法を学ぶ。2010年~15年滋賀医科大学博士課程の留学生日本語教師。訳書にポール・コンスタン著『うちあけ話』2015年人文書院刊(ゴンクール賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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