内容説明
“経営の神様”が残した数々の言葉やスピーチはいかにして生み出されたのか。
太平洋戦争敗戦という苦渋・悔恨から逃避せず、現実を直視し、死を考える程に悩み苦しんだ結果、その独自の思想は生誕した―実業思想家・松下幸之助が発意し、その実現を念願したPHP(Peace and Happiness through Prosperity)の根源ルーツに迫る意欲作。
目次
第1章 「新仏教運動」からのアプローチ(明治・大正期における「新仏教運動」の概要 松下幸之助と新仏教運動の具体的接点 ほか)
第2章 宗教系ラジオ知識人・高嶋米峰と松下幸之助(ラジオ放送の開始―昭和三年頃まで ラジオ放送の展開と受信機の発達 ほか)
第3章 宗教系ラジオ知識人・友松圓諦と松下幸之助(青少年期の友松圓諦 友松圓諦と真理運動の展開 ほか)
第4章 宗教系ラジオ知識人・高神覚昇と松下幸之助―西田幾多郎と共に(高神覚昇の称賛 松下幸之助と西田哲学 ほか)
補章 河野省三の神道思想と松下幸之助(河野省三の事績と思想 松下幸之助の思想との比較 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kazuo Ebihara
1
訳あって、戦前の松下電器に関する本を読んでいます。 一冊めは本棚の奥に眠っていたこの本。 松下幸之助のPHP思想の根源を探っています。 当時、ラジオで放送されていた 新仏教運動と真理運動に大きな影響を受けたようです。 2022/09/04
よこまつ
1
電子書籍で読了。20世紀前半におけるラジオの影響力の大きさ、とくに宗教とラジオの関係性の深さを初めて知りました。松下幸之助が、仏教系、神道系の宗教系ラジオ知識人の影響を受けていたことを検証するという本。最後の結論にハッとさせられる。学術分野では、文字の文化(論文)が重視される一方、本来の思想は声の思想(声の文化)の方が役割が大きいのでは?というもの。2022/01/03