内容説明
本書は、漱石と大塚保治・楠緒子の宿命的な三者の関係をメインテーマとしている。それをスキャンダラスなものとしてとらえるのではなく、明治時代特有の、質の高い、一種の文化現象として考察。漱石文学の創造のエネルギーが大塚保治と楠緒子の存在なくして豊穣なものたりえなかったことを論証する。
目次
序章 “藤尾伝説”をめぐって―男みなひざまつかむを
第1章 良妻賢母への懐疑―語れども心汲まれず
第2章 二組の新婚家庭―君まさずなりにし頃とながむれば
第3章 猫を飼う人を招きて―くねりゆくへちまの蔓のあさましく
第4章 大塚保治のほうへ―博士の館はさびしく立てり
第5章 楠緒子の詩と小説―こなたかなたに存らふる、二つの魂の
第6章 楠緒子の死―たゞ身一つになづみはてつゝ
終章 宿命的悲劇を超えて―われも又世のひとなみに欺かれぬる
著者等紹介
石〓等[イシザキヒトシ]
1941年横浜市生まれ。現在、立教大学名誉教授。公益法人日本近代文学館評議員、日本近代文学会・昭和文学会会員。鎌倉漱石の会会員。2017年秋に開館した新宿区立漱石山房記念館の立ち上げに協力。著書に、共著『明治文学全集別巻・総索引』(筑摩書房、物集索引賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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