内容説明
あの頃‐あの場所‐男“幻想”と女の“期待”が交差する青春小説。“英語は会話も含めて完璧、そして専攻語も”この神話を武器に、就職率は抜群という外大ブランド。しかし一五種の専攻語によって状況も違い脱落者も出る。インドネシア語科では、オランダ語に関心を寄せる学生もいてチェコ語科では、将来を考え英会話教室へ通う学生もいる。インドネシア語学科に集う男女の目的と恋愛模様(第1部)。浪人生活を送ったクラシック好き、チェコ語を学ぶ青年の日常(第2部)。
著者等紹介
澤井繁男[サワイシゲオ]
1954年、札幌市生まれ。道立札幌南高校から東京外国語大学伊語科を経て、京都大学大学院文学研究科博士課程修了。小説「雪道」にて第2回(200号記念)『北方文藝賞』と、第18回『北海道新聞文学賞・佳作』を同時受賞。2019年3月末日を以て関西大学文学部教授を定年退職し、著述生活を事とする。専門はイタリアルネサンス文学・文化論。東外大論文博士(学術)。『三田文学』『文學界』『新潮』などに作品を発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きぬりん
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標題からすれば、現在は府中に移転した某外語大の学生生活を綴ったエッセイの類が想起されるが、そうした期待を抱く向きは見事に肩透かしを喰らう。本書は、インドネシア語あるいはチェコ語というマイナー言語を専攻する二人の主人公の、その恋愛模様を軸とした小説。その二人ともが、明確な目的意識と高尚な趣味を鼻に掛けた男子学生で、周囲の学生、分けても女性を見下した態度が鼻につくが、据膳喰わぬはなどと詭弁を弄しつつ遂には肉欲に屈してしまう姿が嘲笑を誘う。自意識過剰でありながらその実は俗物という七面倒な男性読者には面白いか。。2023/11/06