内容説明
「魂の探究なき生活は生き甲斐なきもの」と、若者の魂に向かって問い続け、惑わせたと、ソクラテスが国家反逆罪で訴えられた…当時の状況を証言する三つの書からの豊富で的確な引用に導かれて、読者はアテナイ市民の一人となり、二四〇〇年前の裁判を追体験する。そして裁判の公正さに驚嘆し、投票の場面では、迷うだろう…ソクラテスは有罪か?量刑は?―。
目次
プロローグ 同時代人三人が伝えるソクラテスのプロフィール
1 ソクラテス裁判について
2 告訴状
3 ソクラテスの悪評はどうしておこったか―被告本人の申し立て
4 同時代人の目に映ったソクラテスの対話とその特徴
5 訴状「ソクラテスは国家の認める神々を信ぜず、新しい神格を持ち込んだ」について
6 訴状「ソクラテスは青年を腐敗、堕落させる」について
7 ソクラテスの挑発、死への第一歩
8 ソクラテスの挑発 死への決定的な一歩
9 投票結果を見て
エピローグ ソクラテスの遺したもの
著者等紹介
遠藤利國[エンドウトシクニ]
1950年生まれ。早稲田大学大学院博士課程修了。翻訳家、國學院大學講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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桐乃@黒雪姫は俺の嫁!
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國學院で授業を履修していて今期この本が教科書となったので読んでみました。 ソクラテス裁判について扱った内容で、俗に言われているように「ソクラテスを死刑にした古代アテナイの人々」は本当に「愚か」だったのかを検証する内容でした。 プラトンの『弁明』・アリストファネスの『雲』・クセノフォンの『ソクラテスの思い出』を論拠にしながら展開されています。 講義でも仰っていましたが、この本は上記の3冊の集約書として書かれているため引用がとても多いです。 感想として今までのソクラテスのイメージとは違った面が見れたと思います2013/05/06