内容説明
一九三〇年代ソビエトロシア、スターリン体制の下、植物遺伝学や育種学の分野でも不条理な事態が出来!バビロフの逮捕収監、一九四三年の獄死―これは過去の「歴史上の出来事」であろうか?現在もなお、いたるところで形を変えた異常事態が起こり得る。こうした理不尽な事態を回避するために、過去の事実の経過をたどり、事態を明らかにする。
目次
ソ連邦農業科学の発展に関わるルィセンコの役割(ルィセンコの登場;バビロフの態度)
科学思想上の衝突(春化処理の評価とその問題点;政治の季節始まる ほか)
バビロフの逮捕・収監とその死、指導的な研究者たちの喪失(バビロフ逮捕までの様子;バビロフの罪状 ほか)
第二次世界大戦レニングラード封鎖と資源の救済(あまりにも速かった侵略;封鎖されたレニングラードで ほか)
著者等紹介
ロスクートフ,イーゴリ・G.[ロスクートフ,イーゴリG.][Loskutov,Igor G.]
1956年ロシアのサンクト・ペテルブルクに生まれる。1987年サンクト・ペテルブルク大学生物学・土壌学部卒。ただちにバビロフ研研究員となり、1991年合衆国アイオワ州立大客員研究員、1994年バビロフ研上級研究員、2001年バビロフ研遺伝資源分野エンバク・ライムギ・オオムギ部長。2003年生物学博士。1993年バビロフ=フランケル賞を受ける
山田実[ヤマダミノル]
1932年東京小岩生まれ。1957年東大農学部卒。農林省に入って初めは稲栽培の研究、その後トウモロコシの遺伝研究に進み、トウモロコシの花粉競争に雑種強勢が現われることを見出し、日本育種学会賞。1990年代にはゲノム研究に係わる。1997年から3年間科学技術振興事業団上級研究員として、ロシアのバビロフ名称植物生産研究所客員研究員でサンクト・ペテルブルクに滞在。その後も国の委託研究のために年に二度訪問滞在していた。農学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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