内容説明
1917年の革命で崩壊した帝政ロシアには、領主屋敷を中心に、展開した古き良きウサージバと総称される文化があった。ロシアの農村風景を活写した名作短篇。ウサージバの結晶。ロシア初のノーベル賞作家ブーニンの描く掌編+風景画20点。
著者等紹介
ブーニン,イワン・アレクセーヴィチ[ブーニン,イワンアレクセーヴィチ][Бунин,Иван Алексеевич]
1870~1953。モスクワの南のボロネジに生まれた。革命後の1920年パリへ亡命。1933年ノーベル文学賞を受けた。1953年パリで客死
町田清朗[マチダセイロウ]
1938年生まれ。青森県立弘前高校、弘前大学医学部卒業。外科第一講座講師を経て、財団法人鷹揚郷腎研究所弘前病院勤務
長濱友子[ナガハマトモコ]
青森市生まれ。県立青森東高校、岩手大学教育学部卒業。現在ドイツ・ガーリッツ在住。アトリエ「日々庵」にて個展開催(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ポテンヒット
10
革命前の古き良きロシアの風景。ウサージバと呼ばれる領主屋敷の光景はのどかで時間がゆったりと流れているようだ。濡れた落ち葉や甘酸っぱいリンゴの香りが秋の冷涼な空気と共に漂う。この時期に読めて良かった。2022/11/22
さぼさん
7
非常に美しい,ノスタルジー満載の作品.ただし,ここに描かれる光景はロシアの人達の心の奥底にある光景なので,本当に理解することはおそらく不可能.ただ,ロシア初のノーベル賞作家が描く,古き良きロシアは読む価値あり.2010/09/01
lico
3
伝統的ロシア文学の継承者といわれているにしては、あまり名前を聞かない作家。読んでいてすごくノスタルジーを感じた。枕草子を授業で読んだときも「冬はつとめて」のくだりで(あまり雪は降らない地方だったにもかかわらず)とても共感を覚えたのですが、まさにあの感覚でした。田舎の陽気で楽しげな雰囲気は、その場所に住んだことがないからこそ、(作者の意図とは異なるかもしれませんが)より魅力的に映ったのだと思う。アントーノフカ・リンゴの匂いはわからないけれど、仲間たちとの他愛もない戯れの思い出はいつだって心を和らげてくれる。2015/12/19
Э0!P!
2
リンゴの香りから連想される田園風景。ロシア革命前のロシア人にとっての古き良き原風景の時代。2023/09/17
東
1
アントーノフカというリンゴの香りを嗅いでノスタルジーに浸る作品。 ロシア革命前の領主貴族の屋敷を中心とした庭園や畑や農民が集まるウサージバ文化を偲ぶ。 自然描写がすごい綺麗で良かった。 ロシア文学にありがちな牧歌的な情景からの苛烈な展開とかはなく明るく終わる。 短編小説なのですごく読みやすい名作。2024/01/10
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