内容説明
当然のことだが、人は理解し得るものだけを理解する。しかしベケットは、取り残されたものを掬うために、理解のための装置を全て取り去ったところから出発する。文学的営為の原点とも言われるベケットと彼の作品をどう理解すべきか。最尖端の研究者13人がそれぞれに繰り広げるコラボレーション。ベケット研究最前線。
目次
可視と不可視のあいだ(ヴェールのレトリック―『見ちがい言いちがい』;ベケットとカメラアイ―『フィルム』をめぐって;演劇と理論の間―『光線の長い観察』;ベケットにおける美術の肌理と運動)
テクストの多文化性(ベケットとアイルランド;ベケットの間テクスト的な力;アイリス・マードックのベケット;語学者ベケット)
身体と感覚(「耳で見る」言葉を探すベケット―創作過程(として)の「天井」と「道」
海辺のシジュフォス―『残り火』をめぐって)
コスモロジーのゆくえ(ころがる石の見た夢―「踊るモナドを受容せよ」;イェイツのヴィジョンとベケットのテレヴィジョン―図像的ダンスをめぐって;「ひび割れた心臓」―『勝負の終わり』の解剖学)
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