内容説明
作家の石原慎太郎氏とソニーの会長であった盛田昭夫氏が著した『「NO」と言える日本』は、国内外に大きな衝撃を与えた。が、同書は極めて情緒的、感情的な記述が多く、特に技術的な記述については、著者が科学技術に対して全くの素人のせいもあり、非科学的で事実とかけ離れたでたらめな説明が多い。日米貿易摩擦の原因についても人種的偏見のせいと決め付け、企業、特に大手メーカーなど生産者の立場からの意見が目立つ。消費者や労働者の保護という視点が完全に欠落しているのだ。アメリカを非難する事によって、如何にも強い者に立ち向かっているかのように見せかけてはいるが、単に経営者の味方であるに過ぎない。本書では、『「NO」と言える日本』、『断固「NO」と言える日本』、『それでも「NO」と言える日本』、『「NO」と言えるアジア』、『宣戦布告「NO」と言える日本経済』に記述された内容のどこがどのように間違っているのかを具体的に説明する。
目次
第1章 過大評価された技術
第2章 脱工業化の遅れ
第3章 日本の技術が抱える問題点
第4章 会社員の実態
第5章 企業と社会
第6章 幼稚な対米意識
第7章 歴史に対する認識
第8章 文化論を検証する
第9章 愚かな経済論