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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
じょうこ
7
句集というものは、作者の世界を覗き見ているようで、恐れ入ります、ちょっと入らしてください、と読みはじめ、ぐんぐんとその人の魂なのか眼なのか生活なのか恋愛なのか、浸らせていただくんだな。以上がこの第一句集を一巡目に読んだ感想。二巡目は、絵本を読むがごとく心に浮かぶ絵を楽しんだ。「ゐて見えぬにはとり鳴けば唐辛子」「もう一度言ふ蕪提げ逢ひに来よ」「春や飛びつく砂鉄吾磁石汝」「友失せぬ欅を楡を置き去りに」が好きだったが、次回読めばちがう句になるやも。掉尾の句もいい。ゆらりと次の句集を編んでほしいな。2021/02/15
pirokichi
6
生駒大祐氏(1987年生まれ)の第一句集。『水界園丁』とは水の世界の庭師?冬、春、雑、夏、秋の全5章。一頁に二句ずつ。タイトルからか紙質とフォントからか使われている言葉からか…一句一句が水気を帯びてぽわんぽわんとたちあがってくる。〈枯蓮を手に誰か来る水世界〉〈吾に呉るるなら冬草に綴ぢじ書を〉〈雨は野をせつなくさせて梨の花〉〈六月に生まれて鈴をよく拾ふ〉〈あやとりに橋現るる夕立かな〉2020年 第11回田中裕明賞受賞。素晴らしい装丁の句集なのに、珈琲を零して染みがついてしまった(悲)2020/08/25
atomos
4
好きな五句 ひぐまの子梢を愛す愛しあふ 星々のあひひかれあふ力の弧 六月に生まれて鈴をよく拾ふ あやとりに橋現るる夕立かな 十月を針の研究してゐたり2019/07/14
yumicomachi
3
著者は1987年生。2019年6月刊行の第一句集。2008年から2018年の約十年間に作られた俳句から構成されているという。ストイックで清潔感のある句集と感じた。〈よぎるものなきはつふゆの絵一枚〉〈白鳥に脚の一対古書の街〉〈芹なづな小雨ながらに傘の紺〉〈星々のあひひかれあふ力の弧〉〈鉄は鉄幾たび夜が白むとも〉〈六月に生まれて鈴をよく拾ふ〉〈憧れて秋となる夏鳩時計〉〈ゆと揺れて鹿歩み出るゆふまぐれ〉等。吉岡秀典によるブックデザインもスタイリッシュで、本文の紙や活字の佇まいまでこだわりぬかれている感じがする。2021/01/31
豆ぐみ
3
2019年港の人刊、第5回芝不器男俳句新人賞受賞作家の第1句集。好きな句は〈葛飾に来て外套の金釦/ひぐまの子梢を愛す愛しあふ/幸せになる双六の中の人/薄紙が花のかたちをとれば春/疎密ある春の林の疎を歩く/八重桜より電球をはづしけり/鳥たちのうつけの春をハトロン紙/五月来る甍づたひに靴を手に/六月に生まれて鈴をよく拾ふ/列車の灯糸引きて去る緑雨かな/夕暮は金魚の旬と昔昔/天の川星踏み鳴らしつつ渡る/輪の如き一日が過ぎ烏瓜/ゆと揺れて鹿歩み出るゆふまぐれ〉などなど。2019/10/10
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