目次
すずめのまぶた
ねじれたガラス
水に溶ける夜
ままごと
器ごとあたためる
その岬の、春の
著者等紹介
八上桐子[ヤガミキリコ]
1961年生まれ。2004年「時実新子の川柳大学」入会。2007年終刊まで会員。以後、無所属(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yumiha
16
現代川柳の句集。時実新子がポタージュならば、八上桐子はコンソメスープだと思う。私のイチオシは、「呼べばしばらく水に浮かんでいる名前」。その後、名前は静かに沈んでゆくのだろうか?他にも、「噴水に虹 赤ちゃんの名が決まる」「真鍮の把手のついている地名」「別名で保存する一枚の背中」と名前へのこだわりを感じられる句がある。一昨日見た映画『シェイプ・オブ・ウォーター』を思い出したのは、「くちびるを読み合っている魚と魚」の句。映画では、手話で気持ちを伝え合っていたけれども。2018/03/22
かみしの
8
「降りてゆく水の匂いになってゆく」「鳥は目を瞑って空を閉じました」「体育座りで傷口嗅いでいる」「歩いたことないリカちゃんのふくらはぎ」「昼の月むかしむかしのわすれもの」川柳といえばサラリーマン川柳、シルバー川柳といったように、標語すれすれのもの、笑いを含んだもの、という印象があった。けれど、この一冊でそのイメージは覆る。17音に閉じ込められた世界の日々、罅。「川」「柳」そのやわらかくしなやかな言葉たちから、不和とほころびが匂い立つ。ぼくもひとつ作ってみました。「水よりも水に似ていて戻れずに」2018/03/18
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5
きよらかで良いですね。以下好きな句。 降りてゆく水の匂いになってゆく/立ち止まりたくなる九月のくるぶし/アサガオノカスカナカオススガシカオ/二三本余った指で触れている/とぎれたはなしへ梨の皮垂れる/水を 夜をうすめる水をください/その手がしなかったかもしれないこと/ストローなからだながれるるうりーど/呼びながら神戸は海へ傾いた/濡らしたら縮んでしまいそうな夜/百日紅かかとが固くなっている/えんぴつを離す 舟がきましたね2018/05/23
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4
かすかな出来事の、余韻みたいな。2019/05/04
comet
3
音もイメージも、綺麗だなと感じた。ビロードになるまでこする臙脂色。2019/06/25