内容説明
若い頃からポーランドに足繁く通う著者は、ポーランド文学に造詣が深く、翻訳家として幅広く活躍する。本書は、情緒細やかにポーランドの魅力を伝える珠玉エッセイ集。1「シンボルスカ」は、ノーベル賞詩人シンボルスカの詩と、親交したシンボルスカとのエピソードをつづり、2「ポーランド三十景」は、著者が留学時代(一九六九~七五)、実際に見聞したポーランドの姿を活写する。3「ポーランド文化と文学の話」は、キュリー夫人、ショパン、ガリツィア文学祭などを、豊かな知識と体験をもとに語る。輝かしいポーランド讃歌!
目次
1 シンボルスカ(シンボルスカの詩;シンボルスカへの祈り)
2 ポーランド三十景(野原とヒナゲシと;輝く夏の日は;人魚の紋章;迷いこんだ花園 ほか)
3 ポーランド文化と文学の話(もう一つの『キュリー夫人伝』;車椅子で廻ったヘルマン・ヘッセの足跡を辿る旅;秋のガリツィア文学祭;メキシコでの一週間 ほか)
著者等紹介
つかだみちこ[ツカダミチコ]
東京都出身。作家、エッセイスト、ポーランド文学翻訳家、日本ペンクラブ会員。1969年9月から75年6月まで、ワルシャワ大学にて現代ポーランド文学を専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Nobuko Hashimoto
18
著者はポーランド文学翻訳者。ノーベル文学賞受賞の詩人シンボルスカはじめポーランドやドイツの著名な文学者に関するエピソードや、ポーランド留学中の様子などのエッセイ集。最後の本屋さんの様子を記した一遍がよかった。本屋さんの2階にはピアノが置かれ、詩の朗読会や作家の夕べが開かれることがよくあるとのこと。詩といえば、大昔、大学にロシアの著名な詩人が来られて自作を朗読され、衝撃を受けた。あれで詩人に対する認識がガラッと変わったなあ。詩人が尊敬されるのがよくわかった。いまだ詩を楽しむまでには至っていないけど。2019/09/09
きゅー
8
タイトルに『シンボルスカの引き出し』とあるが、シンボルスカについての頁は全体の4分の1程度。メインとなるのはつかだみちこ氏による「ポーランド文化と文学の話」なのでご注意を。新しいポーランド文学の担い手としてオルガ・トカルチュクについて書かれたエッセイでは彼女のちょっとしたエピソードなどを読めて良かった。2018/04/05
qoop
4
ポーランド文学と出版文化を紹介することで彼の国の歴史と現状を伝えるエッセイ。書かれた時期が1982年から2015年と幅広いため、第二次大戦の影響を色濃く残した戒厳令化から民主政権の現代まで彼国の今に触れられる。小著ながら政治体制と出版という大テーマも感じさせ、ポーランドの現代文学に触れてみたくなった。そういえば沼野充義氏の「ソラリス」原語役を未読だったな…2021/04/22
企業研究職(微生物)
2
来年ポーランドへ行く予定なので図書館で借りて読んだ。戦火の絶えない国で育まれた文学。2025/01/03
起死回生の一冊を求めて
0
しょっぱなの「掌」が好き。これで邦訳されているシンボルスカの詩はだいたい読んだが、まだ読みたい。あいにくポーランド語は読めないので、英訳で彼女の詩をいちばん網羅しているMap: Collected and Last Poems (https://bookmeter.com/books/20986351 )を読む予定。2024/01/07