内容説明
江戸中期の国学者、本居宣長の和歌「敷島のやまとごころを人問はば朝日に匂ふ山桜ばな」に、フィンランドの作曲家ジャン・シベリウスの音楽とつうじる魂の音を聴く。著者は、その音楽の精神と思想をめぐって深く思索し、縦横に語る。シベリウスの音楽は「清潔」であり、「純粋な冷たい水」を飲み干すごとく、ぬるき現代社会に生きるわたしたちの渇きを癒してくれるだろう。本書もしかり。シベリウスを愛する著者の声がときに烈しく、ときにあたたかく響いている。
目次
純粋な冷たい水
万物の声の音楽家
慄える一本の葦
凍てついた手
白鳥透の交響曲
忍耐は練達を生ず
死のかげの谷
野人の叫び
グリーグ
フィンランドの覚醒〔ほか〕
著者等紹介
新保祐司[シンポユウジ]
1953年生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。文芸批評家。現在、都留文科大学教授。2007年、フジサンケイグループ第八回正論新風賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おだまん
2
シベリウスイヤーに出会った著者のシベリウスの音楽への思いに溢れた興味深いエッセイ。先日放送されたばかりのMTTのTEDの話を思い出しながら、人間性の音楽ではないというところで、ある意味音楽の原点であるのかもしれないなぁと思いました。グールドのシベリウス、聴いてみたいです。2015/05/16
Nakako
1
シベリウスの論評が本という形でまとまっているのを初めて見つけたので購入しました。引用文が多くてちょっと読みにくいです。シベリウスの音楽をpure cold waterと例える感性には、私も同意です。2015/02/18