出版社内容情報
《内容》 遺伝子発現の調節の仕組みは、こんなにもシンプルで美しかった!
プタシュネ博士の鋭い洞察が、あなたの理解を根底から変える。
名著『遺伝子スイッチ』の著者プタシュネ博士(1997年ラスカー賞受賞)がおくる第2弾。
ファージから高等生物までの遺伝子発現・転写の基本原理を、斬新な視点でわかりやすく解説。目からウロコとは、この本のことである!
《目次》
第1章 細菌から学んだこと
RNAポリメラーゼ
制御されたリクルート:ラクトース遺伝子
タンパク質‐DNA間相互作用
生理的シグナルの検出
RNAポリメラーゼによるプロモーター認識と転写
遺伝子のスイッチをオンにする:CAPによる活性化
DNAに協働的に結合するタンパク質
CAPによる協働的結合と遺伝子の活性化
Lacリプレッサーによる抑制
ここまでの要約と発展
制御されたリクルートのもう1つの例:λファージ
遺伝子スイッチ
溶原化状態の確立
lac遺伝子との類似性
プロモーター
タンパク質‐DNA間相互作用
抑制
活性化
生理的シグナルの検出
遺伝子スイッチを効率よく機能させる
λリプレッサーのDNAへの協働的結合
リプレッサーによる自己制御
ここまでの要約と発展
活性化を詳しくみる
DNAへの結合を詳しくみる
相乗作用
RNAポリメラーゼの活性化:glnAと関連遺伝子群
σ54をもつRNAポリメラーゼによるプロモーターの認識
NtrCのDNAへの結合
生理的シグナルの検出
NtrCによる活性化
σ54をもつRNAポリメラーゼに対するその他のアクティベーター
ここまでの要約
プロモーターの活性化:merTと関連遺伝子
プロモーターの認識
生理的シグナルの検出と活性化
ここまでの要約
全体の要約
パネル:抗転写終結
パネル:T4ファージ後期遺伝子
パネル:細菌における抑制の詳細
参考文献
第2章 酵母:単細胞の真核生物
RNAポリメラーゼ
転写装置のその他のコンポーネント
活性化に関する概観
モデルケース:GAL遺伝子群
GAL遺伝子群の調節の概要
特異的なDNA結合
生理的シグナルの検出
Gal4はいかにして機能するか?
Gal4の独立したDNA結合領域と活性化領域
活性化領域の構造
アクティベーターの活性化能は複数の箇所で突然変異が起こるときに相加的に高まる
活性化領域の効率は長さに比例する
活性化領域‐標的間の相互作用はアミノ酸配列の変化に左右されない
新たな活性化領域は容易に作り出せる
スケルチング
リクルートの視覚化
アクティベーターバイパス実験
異種タンパク質‐タンパク質間相互作用による活性化
転写装置の直接係留
Gal4はいかにしてRNAポリメラーゼをリクルートするか?
ヌクレオソームとその修飾因子群
Gal4の標的:in vitroでの実験
Gal4の作用:in vivoでの実験
活性化に必要とされるものは何か?
活性化の際に遺伝子上に現れるものは何か?
ヌクレオソーム修飾因子の必要性
Gal4結合部位やGal4活性化領域が弱まることによる必要性
細胞周期の段階に依存した必要性
活性化:ここまでの要約
Mig1による抑制
シグナル統合と組み合わせによる制御
異なるパートナーとの協働的結合
アクティベーターの連続的な結合
サイレンシング
染色体上のヘテロクロマチン領域
コンパートメント化(区画化)
バリエゲーション(発現の多様性)
DNAのループ構造
要約
パネル:アクティベーターバイパス実験
パネル:バリエゲーションの視覚化
パネル:エピジェネティックな変化
参考文献
第3章 高等真核生物における知見
活性化の機構:リクルート
リクルートされるものは何か?
転写装置とプロモーター
ヌクレオソーム構造としての鋳型
標的
ヒトインターフェロンβ遺伝子
ショウジョウバエHSP70遺伝子
抑制
生理的シグナルの検出と伝達
核内外への輸送
核内におけるインヒビターやアクティベーターのリン酸化
DNA結合性アクティベーターのアロステリックな変化
シグナル統合,組み合わせによる制御,代替エンハンサー
ヒトインターフェロンβエンハンサー
ショウジョウバエeve遺伝子
遠くからの作用
DNAのメチル化,インシュレーターとインプリンティング
染色体上の位置と遺伝子発現
コンパートメント化
概観
パネル:輸送依存性のタンパク質分解:SREBPの場合
参考文献
第4章 酵素の特異性と制御
ユビキチン化とタンパク質分解
スプライシング
キナーゼに特異性を付与する
サイクリン依存性キナーゼ
TATによる抗転写終結反応
サイトカイン受容体とSTATを介したシグナル伝達
増殖因子受容体
ここまでの要約と発展
キナーゼ
ホスファターゼ
シグナルを解釈する
さらなる一般化
危険性
実験を解釈する
利点
λファージ
ショウジョウバエ
付録
付録1:協働性についての詳細
付録2:空間配置決定配列
付録3:遺伝子の悉無的な発現と発現レベル
目次
第1章 細菌から学んだこと(制御されたリクルート:ラクトース遺伝子;制御されたリクルートのもう1つの例:λファージ ほか)
第2章 酵母:単細胞の真核生物(転写装置のその他のコンポーネント;活性化に関する概観 ほか)
第3章 高等真核生物における知見(活性化の機構:リクルート;リクルートされるものは何か? ほか)
第4章 酵素の特異性と制御(ユビキチン化とタンパク質分解;スプライシング ほか)
著者等紹介
プタシュネ,マーク[プタシュネ,マーク][Ptashne,Mark]
米国オレゴン州ポートランドのリード・カレッジで化学を学んだ後、ハーバード大学よりPh.D.(分子生物学)取得。1968年同大学講師、1971年教授。1980年から、1983年まで生化学・分子生物学部門長をつとめる。1997年より、スローン‐ケタリング記念癌センター分子生物学ルードウィヒ冠教授に転じ、現在に至る。λリプレッサーの発見(1967年)を皮切りに、転写レベルでの遺伝子の発現調節機構の研究では常に世界をリードし、アルバート・ラスカー基礎医学研究賞(1997年)をはじめ数多くの賞を受けている
ガン,アレクザンダー[ガン,アレクザンダー][Gann,Alexander]
英国ユニバーシティー・カレッジ・ロンドン(UCL)を卒業後、1989年、エジンバラ大学よりPh.D.取得。ハーバード大学に移り、M.Ptashne教授のもとで遺伝子調節の機構について研究を行う。その後、UCLを経て、ランカスター大学発生生物学講師。以前より教科書の編集に関心があり、Nature誌の編集助手を経験したのち、現在コールド・スプリング・ハーバー研究所出版局教科書編纂部の編集主任。コールド・スプリング・ハーバー研究所ワトソン生物科学大学院のスタッフでもある
堀越正美[ホリコシマサミ]
1956年生まれ。1980年東京大学薬学部卒業。1985年同大学薬学系大学院博士課程修了、薬学博士。1985年より米国ロックフェラー大学生化学・分子生物学研究室博士研究員。1989年より同大学助教授。1992年より東京大学分子細胞生物学研究所(旧東京大学応用微生物研究所)助教授として研究室の運営を開始(~現在)。1997年~2002年、科学技術振興機構(JST)創造科学技術推進事業(ERATO)堀越ジーンセレクター(Gene Selector)プロジェクト総括責任者兼任。研究テーマは遺伝子発現制御機構論、生命現象制御機構論および生物進化制御機構論
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