出版社内容情報
《内容》 昏睡および意識障害の最新知識を網羅・解説するリファレンス・テキスト。Pulm博士の古典的名著"Diagnosis of Stupor and Coma"の後継として認知されている書。病理学的所見に依存せず,臨床的メカニズムの視点から昏睡・意識障害を明快に提示する。全体は,「意識,主な症候群とアプローチ」,「意識障害と身体的・器質的障害」,「意識障害と炎症性疾患」,「代謝・栄養・中毒による脳症」,「発作性の意識障害」,「臨床におけるさまざまな意識障害」の6部,24章からなる。各章ともEBMに則り執筆されており,収められた参考文献総数は約2,900に及ぶ。昏睡・意識障害に関わる神経内科,脳神経外科だけでなく救急,集中治療,内科,小児科の各臨床家にとって必読・必携の一冊である。" 《目次》 Part I. 意識,主な症候群とアプローチ 1意識 意識の概念/意識の要素/記憶/いくつかの臨床的重要事項/結論と将来の方向 2意識障害の主要症候 急性錯乱状態/せん妄/昏迷と昏睡/無動無言/持続的植物状態/脳死/まとめ 3意識障害患者の初期評価と治療 臨床的アプローチ/検査/治療/昏睡の評価スケール Part II. 意識障害と身体的・器質的障害 4テント切痕ヘルニア ヘルニアの歴史/ヘルニア症候群/ヘルニアの臨床徴候および画像検査/ヘルニアについての別な考え方/瞳孔散大/小脳ヘルニア/まとめ 5頭蓋内出血 頭蓋内出血の臨床像/検査所見/治療と予後 6頭部外傷 疫学/分類/病理と病態生理/鑑別診断/管理 7悪性新生物に関連した意識障害 原発性脳腫瘍/癌における意識障害/髄膜への転移 (癌性・リンパ腫性髄膜炎)/硬膜転移/二次性脳血管障害/感染症/薬物・代謝・栄養による因子/放射線治療/癌の遠隔作用/癌患者におけるてんかん 8意識障害と体温異常 高体温/低体温 9電撃傷 定義と分類/落雷/交流電流による障害 10熱傷に伴う脳症 発症頻度/臨床所見/病理と病態/検査/その他の治療 Part III. 意識障害と炎症性疾患 11中枢神経系の感染 中枢神経系感染症における昏睡の発症機序/中枢神経系感染症が疑われるときの初期対応/細菌性髄膜炎/結核/脳膿瘍/Mycoplasma pneumoniae/ヘルペスウイルス脳炎/他のウイルス感染/ヒト免疫不全ウイルス感染と合併する日和見感染症/臓器移植後の日和見感染/急性散在性脳脊髄炎/Whipple病 12その他の炎症性疾患 敗血症に伴う脳症/中毒性脳症/血管炎と膠原病性血管症候群/全身性エリテマトーデス/全身性壊死性血管炎/中枢神経系の血管炎/Sjogren症候群/Wegener肉腫/側頭 (巨細胞) 動脈炎/高安動脈炎/強皮症/慢性関節リウマチ/Behcet病/多発性硬化症/サルコイドーシス/心内膜炎 Part IV. 代謝,栄養,中毒による脳症 13代謝性脳症 無機類・電解質・二酸化炭素による障害〔低ナトリウム血症/高ナトリウム血症/低カルシウム血症/高カルシウム血症/低マグネシウム血症/高マグネシウム血症/低リン血症/低炭酸ガス血症/高炭酸ガス血症〕/内分泌障害〔甲状腺疾患/粘液水腫 (甲状腺機能低下症) /甲状腺機能亢進症:thyroid storm/橋本甲状腺炎による脳症/低血糖/高血糖/急性副腎不全:副腎クリーゼ/下垂体卒中〕/主要な臓器不全〔肝性脳症/尿毒症/膵性脳症〕/遺伝性代謝性疾患〔ポルフィリン症/ミトコンドリア脳症〕/MELAS〔壊死性脳症 (Leigh病) 〕 14栄養障害と意識障害 Wernicke脳症/Marchiafava-Bignami病/ペラグラ脳症/ビタミンB12欠乏 15 無酸素および虚血による脳障害 虚血性脳卒中 (局所脳虚血)/脳梗塞と意識障害/無酸素-虚血性脳症/無酸素-虚血後の持続的なミオクローヌス/開心術後の無酸素-虚血による合併症/脳動脈の空気塞栓/一酸化炭素中毒/シアン化合物中毒/その他の脳虚血と意識低下〔片頭痛/播種性血管内凝固/血栓性血小板減少性紫斑病/その他の凝固異常/神経筋形成不全/脳静脈血栓症〕 16薬物 A:毒物 自律神経障害/中毒による痙攣/中毒による体温異常/動脈血ガス異常/アニオンギャップと浸透圧ギャップの異常/まとめ 薬物 B:意識障害の薬理学的検討 薬理学的原則/麻酔薬の薬理学/中枢神経系抑制:診断と治療のアプローチ/症例についての議論 Part V. 発作性の意識障害 17発作とてんかん重積 発作/発作重積状態 18その他の一過性または可逆性意識障害 失神/発作/一過性血管障害と片頭痛/一過性全健忘/脳振盪/中毒/代謝異常/睡眠関連疾患/精神疾患/一過性頭蓋内圧亢進による意識障害/原因不明の一過性反応消失 Part VI. 臨床における様々な意識障害 19救急医療における意識障害患者の管理 意識障害患者に対する初期治療/意識障害患者の初期評価/薬物・化学物質による中毒/緊急処置が必要な代謝性昏睡/痙攣性疾患/まとめ 20内科系・外科系集中治療室における昏睡 内科系ICUみおける覚醒障害/外科系ICUにおける覚醒障害/検査所見/集中治療室における昏睡患者の予後 21移植集中治療患者における昏睡 心臓移植/肺移植/肝移植/骨髄移植/腎移植/臓器移植後の意識障害に対するアプローチ 22産科病棟 子癇/てんかんをもつ患者の妊娠/脳虚血発作/皮質静脈血栓症/頭蓋内出血/妊娠における脳腫瘍/羊水塞栓症/空気塞栓/下垂体不全/全身合併症/精神医学的状態 23神経変性疾患における意識障害 分類/有病率/臨床的特徴/臨床評価/病因/管理 24倫理 倫理的行為の原則/説明と同意/治療の中止/生活の質で調整した生存年数/安楽死/後天性免疫不全症候群/プラセボと誘発試験/臨床試験/専門家の証人としての責任
内容説明
本書は、昏睡と意識障害に関する包括的な総論と、最新の知見について、臨床家が臨床家のために書いたものである。Part1では昏睡状態についての概念を示し、それぞれに対する臨床的対応と、ときに検査法も図示している。そのような中で昏睡の様々な構造的原因が考察される。続いて、意識を障害する炎症性・代謝性・中毒性状態について述べている。一過性の意識障害を呈する症候群については別に章を設けており、とくにそのような患者に遭遇する際の臨床状況について考察している。そして最後に、常に付帯する倫理的関心事項について述べている。
目次
1 意識、主な症候群とアプローチ
2 意識障害と身体的・器質的障害
3 意識障害と炎症性疾患
4 代謝・栄養・中毒による脳症
5 発作性の意識障害
6 臨床における様々な意識障害
著者等紹介
井上聖啓[イノウエキヨハル]
東京慈恵会医科大学神経内科教授
有賀徹[アルガトオル]
昭和大学医学部教授救急医学講座主任
堤晴彦[ツツミハルヒコ]
埼玉医科大学総合医療センター高度救命救急センター教授
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