内容説明
ドッテテドッテテ、ドッテテド、ドッテテドッテテ、ドッテテド。でんしんばしらが歩きだす。黄いろい顔の電気総長がやってくる。恭一が遭遇した奇妙きてれつ不思議な夜―。
著者等紹介
竹内通雅[タケウチツウガ]
1957年、長野県生まれ。創形美術学校版画科卒。雑誌『イラストレーション』のコンペで1986年「ザ・チョイス年度賞」大賞受賞。39歳でイラストレーターから絵本作家に転向(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Hideto-S@仮想書店 月舟書房
80
宮沢賢治のオリジナルを文章だけで読んだ時は、静かな夜のファンタジーという印象でしたが、不気味な雰囲気の中におかしさが交じる絵本になっていました。《電気総長》を名乗る爺さんに率いられて真夜中に行進するでんしんばしら。♪ドッテテ ドッテテ ドッテテド♪ ミキハウスの『宮沢賢治の絵本』を読むのは、『猫の事務所』『よだかの星』に続き3冊目。2009年10月初版。2015/10/05
gtn
36
車窓に流れる電信柱から着想を得たか。同じ格好をした柱が、軍歌のような枕木の音とともに、果てしなく行進していく。朽ち果てそうな柱も、後ろに急かされて歩みを止めることができない。まさに軍隊。2021/06/12
Cinejazz
20
〝ある晩、恭一は草履をはいて、鉄道線路の横をすたすた歩いておりました...向こうに停車場の灯りが見える処まできました。 と突然の左側で、ぐわあん、ぐわあんと唸っていた電信柱の列が大威張りで、北の方へ歩き出しまた。唸りもだんだん高くなって、昔風の立派な軍歌に変わってしまいました「ドッテテドッテテ、ドッテテドッテテ 電信柱の軍隊は、規律 世界に並びなし 」...やがて黄色い顔の電気総長が現れて・・・〟少年が遭遇する、奇妙奇天烈な夜の光景は、<宮沢賢治>が軍国主義を畏怖する雰囲気の漂う世界観。2024/01/08
はなん
18
図書館)宮沢賢治の言葉のリズム感。少し昔の日本の、少し昔の言葉たちだけれど、その心地よいリズムは今の子たちにも楽しめるんじゃないかな?と思った。独特の世界はちょっぴり怖かったりしながら、月夜の晩に起こった不思議な出来事。目撃してしまう少年の姿を描いている。絵も賢治の言葉のリズム感に沿っていていいな。2014/02/28
栗羊羹
16
数え切れない程のでんしんばしら達が行進(行軍)を始める。ニヤリとちょっと意地悪そうな表情で。なんかディズニーの『魔法使いの弟子』を思わせます。汽車が来ると、サッと表情を消してただのでんしんばしらになり、汽車を見送る。宮沢賢治作品はいろいろと、奥が深い。「電気総長」との握手…命がけだ!2021/11/28