内容説明
第二次世界大戦中、外交官だった杉原千畝は外務省の方針に反して日本通過ビザを発給し、多くのユダヤ人を救った。杉原はなぜビザ発給の決断に至ったのか。そしてその覚悟とは…。多くの資料を紐解き、様々な証言や時代背景に照らして、知られざるその理由に迫る!
目次
第1部 外交官になるまで(出生から青年時代;満洲時代;外交官時代)
第2部 杉原ビザの役割(ビザ発給の決断と覚悟;ユダヤ避難民の逃避行;ヘブンと呼ばれた敦賀)
第3部 戦後の杉原千畝(敗戦から帰国;ソ連での商社員時代;晩年)
巻末資料
著者等紹介
古江孝治[フルエタカハル]
1950年、福岡県生まれ。立命館大学卒業後、福井県敦賀市役所に勤務。敦賀市にあるポーランド孤児やユダヤ避難民の敦賀上陸などを展示する資料館「人道の港 敦賀ムゼウム」開設の中心的役割を担い、初代館長となる。杉原千畝、ユダヤ避難民などの調査・研究のため「人道の港調査研究所」を設立。大学などでの講義や講演活動を通して「命の大切さ」「平和の尊さ」を伝える。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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崩紫サロメ
18
杉原千畝の評伝は数多くあるが、本書は四男杉原伸生氏ら、遺族の証言を多く取り入れたものである。もちろん、遺族に見せなかった「実像」は他にもあるだろうが、杉原が自身を息子にどのような人間であると見せようとしていたかが伝わってきて、新鮮さがある。キリスト教に対する冷淡な姿勢など残念なところもあったが、それも含めて知ることができたのはよかった。また、著者は敦賀でユダヤ人難民の上陸の有様を伝える「人道の港敦賀ムゼウム」の館長であり、津軽から見た杉原、ユダヤ人難民の敦賀での具体的な生活なども伝えている。2021/04/15
紫の煙
12
杉原千畝についての本は初めて読んだ。リトアニアでユダヤ人にビザを発行したことは知っていたが、彼自身の想いや、彼の想いを受け継いだ人、その後のユダヤ人の日本での様子など初めて知ることが多い。昔の日本人には、こういう人がいたのだ。誇りに思う。2021/06/21
C-biscuit
12
図書館で借りる。結構新しい本である。杉原千畝については様々な本があるが、脚色されていたりと本当のことを書いている本が少ないらしい。この本は四男の杉原伸生のお墨付きであり、人間性まで掘り起こし分析されているとのこと。杉原千畝の生涯がよくわかる内容であり、出生から晩年に至るまで細かく書かれている。ビザを発給するところにスポットライトが当たるが、その後ユダヤ人が日本を経由する際に、敦賀に立ち寄った様子などが詳しく書かれている。資料として当時の新聞の見出しなどの紹介もあり、古い時代の生活感も感じることができた。2021/02/22