内容説明
静けさに浸る夏。生い茂った木立、揺れる湖の水面、漆黒の夜空に瞬く星々…眼前に広がる茫洋たる静寂の世界。
著者等紹介
キムジヒョン[キムジヒョン]
韓国とイギリスでデザインを勉強し、現在イラストレーター、グラフィックデザイナーとして活動中。絵本、展示デザイン、アニメーション、パブリックアートなど、多様な分野で仕事をしている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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吉田あや
81
文字は一切なく、無言でありながら無音ではないしずかな夏休みの光景。淡く柔らかなセピア調で何気ない子供の頃の時間を振り返るようなある日の光景。夏を感じながら走る車を吹き抜けていく風の心地よさ、蝉の声を包む豊かな木立。祖父母の家で家族の歴史を語るように壁に増えゆく写真から知る自らの成長のこそばゆさ。不思議へと続く静寂の小道を満たす草いきれを、好奇心を抱えて進む汗ばんだ子供の襟足。空を覆うように茂る葉の隙間から零れる光のレースの先には湖の水面が輝く。(⇒)2021/09/30
とよぽん
49
しずかだった。街に住む男の子と両親が田舎の祖父母の家に行き、夏休みを過ごす。それだけのことだが、喧騒を離れて自然の中でゆったりと過ごす時間の貴重なこと!言葉がなくて絵だけの絵本。本当に静かな絵本だった。2022/09/04
たまきら
43
水墨画を見ているような素敵な絵本です。暑い暑い時間がすうっと吸い込まれ、涼ませてくれそうな夜空の絵にうっとり。すきだなあ、こういう本…。2021/09/16
ヒラP@ehon.gohon
39
夏休みに田舎にある親の実家を訪ねる設定でしょうか。言葉のない絵本なので、さまざまに想像が膨らみます。モノクロームに描かれた絵も、心の中でさまざまな色彩を呼び起こします。 湖の中に着衣のまま飛び込む少年。その先に幾重もの物語が展開します。 少し疲れ気味のビジネスマンに、癒やしの時間を与えてくれる絵本かもしれません。2021/10/13
anne@灯れ松明の火
35
新着棚で。パラッと見たら、文字のない、まさに絵本だった。絵は、グレーを基調にしたモノトーン。夏休み、都会から、田舎のおばあちゃんのところに遊びに行く家族。小学生ぐらいの少年と飼い犬は、森の中を歩き、湖を泳ぐ。文字もないし、派手な絵もないけれど、風の音や水の音、葉擦れなど、音が聞こえてくるような気がする。しずかだけれど、無音ではない気がする。キム・ジヒョンさん初読み。2021/07/20