内容説明
北海道史最古の文献を現代語訳。別名『松前国記録』といわれ、松前家の家史として初代松前藩主の六男の手によって編まれた。中世~近世初頭の北海道を知るうえで欠かせない重要史料の初の現代語訳である。
目次
新羅之記録上巻(新羅大明神縁起;清和源氏の系譜;甲斐武田源氏から若狭武田源氏へ;松前武田源氏の流れ;下国安東家の流れ ほか)
新羅之記録下巻(第五世蛎崎慶廣の家督相続;慶廣朝臣と豊臣秀吉;松前慶廣の誕生と家康公;花山院忠長卿の蝦夷ヶ嶋流刑;初代藩主慶廣の逝去 ほか)
著者等紹介
木村裕俊[キムラヒロトシ]
昭和22(1947)年、北海道江差町に生まれる。平成20(2008)年、鉄道建設技術者を定年退職して、歴史学を学ぶ。平成23(2011)年、奈良大学文学部文化財歴史学科を卒業。平成24(2012)年、同大学に於いて学芸員資格を取得。市立函館博物館友の会理事。北海道史研究協議会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぽんくまそ
10
北海道の松前氏について17世紀半ばに松前景広が書いた本。アイヌと和人がからみあう北海道の歴史を調べる上で絶対欠かせない資料です。現代語訳した人、木村裕俊さん、この人がすごい。鉄道建設の仕事を定年退職したあとに奈良大学に入って卒業し、さらに学芸員の資格を取ったのです。この本を出版したのが秋田市の会社である。日本書紀を現代語訳して文庫で普及してくれた故・宇治谷孟さんを思わせます。(戦国時代、実はアイヌは和人よりも、和人からみかじめ代を貢がせるくらい交易で強かったのだ。)2015/07/21
ぽんくまそ
5
再読。内容は松前氏の古い歴史についてで、松前氏は祖先が新羅三郎源義光であると自称しており、近江三井寺の新羅明神を地元でも祀っていることから「新羅(しんら)の記録」という題名になった。檜山安東氏の配下としての半独立的な活躍(本庄繁長や北条早雲も宗主上杉氏・今川氏の力を背景にした半独立武将だった)から、独立大名として公認を勝ち取る過程を見ると、その間に津軽北畠氏と一時的に関係を持っていたりして、色々と興味が尽きない。姉が弟2人を毒殺したとされる事件など謎が多い。謎が多いから歴史は面白い。2021/04/17