内容説明
昭和天皇の料理番として華やかな饗宴の演出と日常の食事を預り、また、日本のフランス料理界をリードしてきた著者が、宮中と市井の間を散歩しながら目にしたさまざまな風景を、鮮やかなペンさばきで調理した書。
目次
あまから抄
宮中の正月料理
パーティーの開き方
味十二カ月
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スノーマン
21
ドラマをふと見たら主人公は福井の人。というわけで図書館ではプチ特集棚が設けてあり、そのうちの一冊。ドラマでは若い修業時代なのでハチャメチャな印象だった秋山さんだけど、この文章を読む限り、とても知的!それに昭和30年代に書かれたとは思えないくらい女性に対する目線が公平!素直!料理は真心。心を込めること、その食材についてきちんと調べること、料理に関して限りなく貪欲な姿が美しい。ただ、宮中料理やパーティの開催方法は、あまり興味がなくて飛ばし読み。2015/05/06
ツキノ
11
ドラマ「天皇の料理番」を観たからこそ読む。食材や料理に対する愛情、熱情がいい。「エビをこよなく愛している」とのことでこの表紙絵も秋山徳蔵氏によるもの。男の嫉妬について「めいめいがこの嫉妬を善用すればよい。嫉妬するほどの血の気があるからこそ、伸びてゆける」としているのはいい。徳蔵氏は昭和47年に退職してその2年後、85歳で亡くなっているのだな…2015/07/23
めぐねい
0
昭和37年刊行の本なのだけど、内容の古さは全然感じさせない。とにかくお腹が空く!ヨダレってこんなにわかり易く出て来るんだ(笑)食べ物に対する愛情がたっぷり詰まってて、夜の11時ぐらいに電車で読んでると周りにいる酔っぱらいとの相乗効果で「ミンナコンナニタノシソウナノニ」「サイキンイイモノタベテナイノニ」(なぜカタカナ(笑))と惨めな気持ちになりながらも「落ち着いたら絶対に美味しいもの食べてやる!」と気合いも入る。1月の味から12月の味と旬の食べ物について書いてあるページがまたいい!ヨダレがさらに出るよ(笑)2015/08/14
LOHASPO
0
知人に薦められて観たNHK歴史ヒストリア「天皇の料理番」の回があまりにも面白かったもんだから、Amazonで速攻ポチり出張中に読了。昭和三十年代の本らしく、井伏鱒二や初期の開高健のエッセイと近いと感じた。天皇の料理番なだけに、さぞや、こだわり素材の話が多いんだろうなんて思ってたんだけど、素材よりも気持ちと技術を重視しており、高い素材が良いなどとは書いておらず、やっぱり凄えなぁーなどと。まぁ、最近のグダグダ素材偽装の話もあって、そんな感想が残る2013/11/06