内容説明
平安時代から現代へと展開する、少女たちのせつないストーリー。色町から逃げ出した名もなき少女と、一人の夜盗。山合の里で出会った、斎宮と領主の息子。帝都で洋食屋を営む、美しい姉妹の物語。そして現代、家業の喫茶店を手伝うヒロインが抱く、誰にも言えない秘密と哀しみ…。どんな願いでもかなえてくれるという「銀の糸」。その不思議な力をめぐる出来事が、時代を越えて一つに繋がってゆく。そのとき、哀しい少女たちに舞い降りた奇跡とは。
著者等紹介
高橋恒星[タカハシコウセイ]
代表作に『うつせみ』『あめいろの季節』『夜勤病棟』『散桜』など。AGプロ所属
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えすてい
8
幸せって何なのだろうな。銀の糸は幸せをもたらすのか災いをもたらすのか。人は銀の糸の虜になり不幸や悲劇から逃れられない運命を定められるのか、古い自分を捨て次に進む「反面教師」となるのか。いろんな見方ができる。しかし、幸せの象徴は紛れもなくアヤメの花だろう。2021/12/20
えすてい
7
ハッピーエンドとは言い難い物語。銀の糸は願いどころか災いをもたらす。そして銀の糸を手放した時こそ、本当の幸せが自分の目の前に現れる。タイトルが「銀色」よりも「あやめ」の方がよかったのかもしれない。hはあまり描写はなく、hのない章もある。銀の糸に翻弄される時代を超えたリンクする物語。でもク○二は一応出てくる。2021/12/17
えすてい
6
死が全ての章に登場する。しかも全ての死が悲惨な死だ。人は何故こんな不幸な死を引き起こす銀色は糸を作り出したのか。それに縛られる幸福はないのに。重くて悲しい作品だ。#ねこねこソフト 原作作品、今日 #2022年2月22日 は、#にゃんにゃんにゃんの日 。2022/02/22
えすてい
6
願いを叶えるどころか、時代も世代も越えて人に不幸をもたらす銀色の糸。銀色の糸を手にしても、それに頼ることなく幸せを見つけるのが、この作品のテーマなのだと実感した。悲しく、そして勇気のいる物語である。2022/02/21
えすてい
6
人身売買、人柱、姉妹間の嫉妬、結ばれることが許されない間など、男女が結ばれるには様々障害があるが、銀色の糸は、決して二人を幸せにするものではない。銀色の糸に頼らずに、自分たちで悲しみや苦しみを乗り越えていく。悲しい物語でもある。2022/01/06