内容説明
近似する言語を持つ隣国タイ。その強大な政治・文化の磁場にさらされ続けるラオスにとって、言語の独自性は独立の証しである。国民性を創り、守り育てる現場からレポート。
目次
1 「ラオス」の誕生―メコン川に引かれた国境線(ラーンサーン王国―繁栄と没落;国境線と言語の「境界」―分断されたラーオ人たち;「失地回復」と大タイ主義;ラオス刷新運動―ラーオニャイ(大ラオス)
ラオス内戦「二〇年戦争」―分裂するラーオ語)
2 ラーオ語を「つくる」―正書法をめぐって(ラーオ語正書法とタイ語正書法;ラーオ語は「遅れた言語」か?;ラーオ語正書法をめぐって―タイ語との「境界」設定;「国民語」、「国民の文学」;王国政府とパテーと・ラーオへ)
3 ラーオ語の「歴史」―「ラーオ語族Sakun Phasa Lao」の形成(ラーオ語、ラーオ族の「起源」―「ラーオ語族」;ラーオ語の「歴史」―「没落」と「復興」;タイ人は「ラーオ系民族」か?;)
4 ラーオ語か、タイ語か―言語ナショナリズムの昂揚(新しい娯楽とタイ語;「パーサー・パー・シィア」;アカデミーへの批判)
著者等紹介
矢野順子[ヤノジュンコ]
1974年生まれ。一橋大学大学院言語社会研究科博士後期課程在籍。東京外国語大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Nao
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面白い。植民地時代のラオスとタイ、フランスの言語における関わりがこの薄さの本に凝縮されている。ラオス語とタイ語との接点が非常にわかりやすく、また、ラオス語がいかにして国民語となっていったかの経緯を学ぶことができた。これを機に、タイ語だけでなくラオス語もやっちゃおうかなw
kungyangyi
0
面白い。タイ語と類似するラーオ語を、いかにして国民語ラオス語にしていったかという話。小国ラオスが、隣国タイに吸収されないための国民語づくり。/田中克彦さんが紹介するKlossの論だと、Ausbauspracheの例になる。2022/04/11
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