内容説明
「アラビア語を話す全ての人はアラブ人である」。領土、アラブ人、そしてイスラーム。これら三つのアイデンティティー濃度を持ち、それぞれへの帰属意識の交錯の中に生きるエジプト人。本書は、教科書にみる言説や歴史から、フスハー(正則アラビア語)を国語とする意味を問い、ナショナリズムとは何かを再考する。
目次
序章(二〇世紀前半のエジプト;エジプトとナショナリズム;本書の目的)
第1章 アラビア語とナショナリズム(フスハーとアーンミーヤ;パンイスラーム主義とアラビア語;アラブナショナリズムとアラビア語;領土的ナショナリズムとアラビア語)
第2章 一九二九年度の教科書とナショナリズム(一九二九年度の教科書とアラブ;一九二九年度の教科書とイスラーム的言説;一九二九年度の教科書とエジプト)
第3章 アラブ連合共和国時代における教科書のアラビア語文学史(アラビア語文学史とイスラーム;アラブ人的気質と反植民地主義;アラブ世界の中心としてのエジプト)
第4章 研究者の編む文学史(カウミーヤとナショナリズム;研究者におけるカウムの見方;領土的ナショナリズムにおけるアラブ意識)
第5章 ヨルダンにおける文学史(ヨルダンの歴史;ヨルダンの近代アラビア語文学史におけるカウム;ヨルダンの近代アラビア語文学史における二つのナショナリズムの包含関係)
著者等紹介
平寛多朗[タイラカンタロウ]
2017年、東京外国語大学大学院地域文化研究科博士課程単位取得退学。博士(学術)。専門は、文学、アラブ地域研究。現在、日本学術振興会特別研究員PD(桜美林大学)としてチュニジアの教育、アラビア語文学の研究を行っている。東京外国語大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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