内容説明
「華人学」2.0を目指して。循環論に陥りがちな従来の言説を離れ、「華人」と語られ、「華人」が行うとされる状況に寄り添い、無数の差異から立ち現れるものを凝視。本質主義をめぐる議論の呪縛を解き放ち、新たな地平を目指す貴重な試み。
目次
第1部 理論篇(序論―「華人学」の循環論を超えて;社会現象としての「対象」をいかにして捉えるか―行為中心的アプローチの可能性)
第2部 「華人」という枠組みを問う(タイで「華人性」を考える―ある「華人廟」からの問い;上座仏教を実践する「華人」たち―マレーシアの上座仏教徒についての考察;オランダ在住「プラナカン」の語りに見られる「華人性」の再検討)
第3部 想像された「ホーム」、記憶の中の「ホーム」(甘いかおりと美しい記憶―マレー半島の喫茶文化コピティアムとノスタルジアについて;つながりに生きる―「チャイニーズ」の“roots”と“routes”に関する考察)
第4部 実践の深みへ(シンガポールのハングリー・ゴースト・フェスティバルとスペクタクル化する儀礼―立ち現れる「華人」のイメージとその内実;インドネシアの国家英雄ジョン・リー―「華人」という「主体」の物語を問う)
著者等紹介
津田浩司[ツダコウジ]
1976年生まれ。2008年東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。専攻は文化人類学、東南アジア(特にインドネシア)の華人社会研究。現在、東京大学大学院総合文化研究科准教授
櫻田涼子[サクラダリョウコ]
1975年生まれ。2010年筑波大学大学院人文社会科学研究科歴史・人類学専攻修了。博士(文学)。専攻は文化人類学。現在、育英短期大学現代コミュニケーション学科准教授
伏木香織[フシキカオリ]
1971年生まれ。2004年大正大学大学院文学研究科博士後期課程修了、博士(文学)。専門は音楽人類学、民族音楽学。現在、大正大学文学部、准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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