内容説明
江戸川乱歩研究の新しいフェーズ到来。蔵に遺された資料から、これまで知られてこなかった様々な事実を発見。原稿・草稿、書簡、切抜資料、手帳・ノート・メモ類、戦時資料、読書ノート・評論執筆用資料、探偵小説・江戸文献に関するカード、脚本資料、映像資料、等々。和書一三〇〇〇冊、洋書二六〇〇冊、雑誌五〇〇〇冊。海外の研究者とのシンポジウムを開催。
目次
1 海外における江戸川乱歩研究(江戸川乱歩における閉所嗜好症と視線;乱歩・声・モダニティの音風景;乱歩と出版広告―一九三一年、平凡社『江戸川乱歩全集』の新聞広告と「大乱歩」の誕生 ほか)
2 江戸川乱歩所蔵資料を用いた研究(2の領分;江戸川乱歩所蔵本・海軍外郭団体雑誌『くろがね』を読む;江戸川乱歩資料に見る、「類別トリック集成」の成立―『奇譚』、映画論から「トリック分類表」へ ほか)
3 江戸川乱歩のテクストを読み直す(探偵小説のジャンル言説と読者像―江戸川乱歩を中心に;探偵小説の風景―乱歩的パースペクティヴの誕生とその展開;乱歩とアダプテーション―加藤泰『江戸川乱歩の陰獣』におけるメディア/ジャンルの交錯 ほか)
4 シンポジウム 江戸川乱歩のモダニティ
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
keroppi
57
江戸川乱歩研究の最前線。海外の乱歩研究や、資料から分析する乱歩や、映画との関係から分析する乱歩世界や、様々な論文が乱歩の世界を深く追求する。中国の推理小説事情も知れて興味深い。今もなお乱歩の世界は、世界に広がっているのだ。乱歩作品を読み返したくなってくる。2019/06/12
パトラッシュ
4
江戸川乱歩の研究書はいろいろ出ているが、海外研究者の視点からの分析は目新しかった。閉所嗜好症や音の描写、出版広告から見た時代性を明らかにする試みは面白かったし、所蔵資料を活用して「類別トリック集成」の成立過程をたどったり乱歩作品の映画との関係を明らかにする部分は現代の読者には興味深いだろう。作家の遺した豊富な資料を活用して内面まで明らかにしようとするなど、ジャンル枠を超えて分析対象となった乱歩研究の最新状況を明らかにしてくれる。誰でもいいからこうした研究を踏まえた乱歩伝を書いてほしいものだが見果てぬ夢か。2020/03/21
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