目次
1 大学はどこに向かうのか(国立大から教員養成系・人文社会科学系は追い出されるかもしれない;大学をめぐって、いま何が起こっているのか;「大学改革」が見ていないものは何か;大学の「グローバル化」とは何か;語学教育と覇権主義;「大学は役に立つのか?」に答えるならば 総論編;「大学は役に立つのか?」に答えるならば 日本文学研究の場合)
2 変化するキャンパスと社会(東京大学「軍事研究解禁」騒動とデュアル・ユース;教室が「戦場」になった日?―新聞による大学授業への介入を考える;なぜ『はだしのゲン』を閲覧制限していけないのか?;遊びの世界、仕事の世界;生涯学習は私たちの社会の新しい管理形態なのか―教育再生実行会議・ドゥルーズ・学びの両義性)
著者等紹介
日比嘉高[ヒビヨシタカ]
名古屋市出身。金沢大学文学部卒、筑波大学大学院博士課程文芸・言語研究科修了。博士(文学)。筑波大学文芸・言語学系助手、京都教育大学教育学部講師、同准教授を経て、2009年4月より現職(名古屋大学大学院文学研究科准教授)。カリフォルニア大学ロサンゼルス校日本研究センター客員研究員(2002‐2003)、ワシントン大学客員研究員(2009)。近現代日本文学・文化、移民文学、出版文化が専門(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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猫丸
11
マイルドな論理展開。文系大学不要論に反駁する論の先陣にふさわしい人だ。学問の効用をマジメに説いている。生活もかかっているのだろうから、諦めるわけにはいかないしなあ。しかし、まったく情けない国に成り下がったものですね。国立大学のセンセイが国民様にプレゼンしなくちゃならんとは。学術に価値を置く国民が相対少数に転じれば、もう坂道を転げ落ちる勢いですな。政府が進める大学改革とは、企業がなすべき社内教育を税金で肩代わりするだけだという構図が見えないのだろうなあ。大学で職業教育っていうギャグが実現した悪夢。2019/05/03
ハチアカデミー
5
大学とは何か/人文学とは何か、という問いに研究者が誠実に答える。政治家は圧力によって大学をコントロール可能にしようと目論み、企業は役に立つ人材を求め経済概念を大学に持ちこまんとする。グローバル化を叫びながらもその視線の先には相変わらず欧米だけ。そんな現実に対して、豊かな教育とは「自由さと多様性」にあると提言する。自明を揺さぶり、変化をさせていくことは人文学のひとつの目的である。多様性はこれからの社会これからの生き方の可能性をも提示する。不要といわれがちな文学からだって、社会を「読む」力を養うことができる!2015/06/24
ma-san
3
作者がブログに書いていた記事を書籍化。平易で読みやすいが、その分、ほかブログからの引用があったりで、ちょっと萎える(いまどきそんなこと言うてられない?)。財政的発想を元にした大学改革はうまくいかない、なぜなら教育・研究は金銭的価値に置き換えられないから、という論旨は、15年ほど前(ホリエモンが話題になってた頃)に同一賃金同一労働の議論があったときに、教育研究機関にもその理屈を導入して良いのか、当時所属していたゼミで話し合ったことを思い出した。というか、卒論、そんな感じで書いたような気がするぜ。2018/01/10
てながあしなが
2
レポート対策として読んだ。とりあえず人文科学系学部が存続の危機にあることと、近年大学が資本主義経済に飲み込まれつつあるということをざっくりと理解できた。
piack
1
確かにじっと座って本を読むことに耐えうる「態度」は必要かもしれないが、それだと「勉強(compulsory)」的な部分が多く、「あぁ、またこの手のタイプの「勉強は役に立つ」という勉強好きな人の議論ね」、という感想を持ってしまった。「学ぶこと」が持つオルタナティブな魅力がもう少し書かれていると本書の「大学批判」とコインの裏表を成して面白かったのではないか。。。という感想。 個人的には、各授業のピースをストーリー化する様々な方法論の提案も議論のネタとしてほしかった。2015/08/18
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