内容説明
強大な曹操の諜略に敗れた、馬超は、五斗米道軍の張衛の許に身を寄せる。劉璋の影に怯える教祖・張魯の言に従い、滞留の礼を尽くすべく成都へと向かう馬超。その先には、運命の邂逅が彼を待ち受ける。一方、孫権軍を合肥で破り、益州の劉備を討つべく漢中の侵略を目論む曹操。益州に立ち、孔明とともに曹操を迎え撃つ劉備。そして、関羽は、劉備の北征を援護すべく、荊州の大地にその名を刻む。北方“三国志”震撼の第九巻。
著者等紹介
北方謙三[キタカタケンゾウ]
1947年佐賀県唐津市生まれ。中央大学法学部法律学科卒。81年『弔鐘はるかなり』でデビュー。83年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、85年『渇きの街』で第38回日本推理作家協会賞長篇部門、91年『破軍の星』で柴田練三郎賞をそれぞれ受賞。近年は、時代・歴史小説の分野にも力を注いでいる
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感想・レビュー
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W-G
379
主要人物の老いが、いよいよ物語の質感を静かなものに変えていく。なんだか悟ってしまったような曹操。初登場時とは最早別人の冷たい孫権。そして劉備も、孔明と一緒になることで魅力が消えて、狡猾さや卑小さが目立つようになっている。などなどいいつつ、結局はこの巻は関羽のためのもの。部下との温度差から不穏な空気が出つつ、孔明の戦略で興奮を煽りつつも、どこか青白い描写の関羽。最期には哀しくも綺麗に散っていった。改めて振り返ると、実はそれほど大きく取り上げられていなかったが、偉大な武人の存在感はしっかりと示していた。2018/12/19
はっせー
164
この時期辺りから時代を彩った英雄たちが次々と表舞台から消えていく。黄巾の乱からもう何十年も経っているのだから。今回の主役は関羽である。荊州の守護を司っている関羽が奮闘する。内政や戦争で才能を発揮するが仲間の裏切りもあり窮地に立たされる。関羽自身が内政や戦争の才能があるため嫌でも出来ない人間に目がいってしまう。その出来ない人間をどうするかで自分の命や国の将来さえ変わってしまう。出来ない人間を切り捨てるのではなくどのぐらい妥協して協力できるかが重要だと感じた。関羽が表舞台から消えてしまうのは悲しい!2021/01/24
ehirano1
152
曹操の離間の計により関羽を死なせてしまうかもしれない、という葛藤のシーンが非常に印象に残りました。しかし、曹操が最終的は“ボス”としての判断をしたのは曹操らしかったと思いました。2017/06/11
へロム
90
この前つぶやきましたが、電車にこの本を置き忘れました。まだ、ブックカバーとともにでてきません。あと20ページほど読み残していたのですが、諦めて10巻目を読み始めました。関羽の書き込みが多くなったので、北方版の傾向として亡くなるんだろうなと思い、10巻目に入ったとたん、張飛の咆哮から始まった。9巻では遂に魏の曹操と呉、蜀の同盟軍の戦いが始まり、大きく動き始めた。関羽が亡くなる場面は悲しくなるから、読めなくて良かったのかも。2014/01/28
Kircheis
84
★★★★☆ 北方版では割と不遇な扱いを受けていた関羽がついに天命を迎える。オリジナルエピソードがあまり用意されておらず、華雄や顔良、文醜との一騎打ちもあっさり描写されたのが残念だったが、最後はかっこよかった。2018/02/03