ハルキ文庫<br> 花の結び目―新子の川柳行路

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ハルキ文庫
花の結び目―新子の川柳行路

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  • サイズ 文庫判/ページ数 259p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784894566958
  • NDC分類 911.46
  • Cコード C0195

内容説明

時実新子は、生まれたときから女である。女が川柳というものに出逢った。そしてその時、新子は別の女になった。彼女にとって川柳とは、人生に得た深い井戸のようなものだった。しかしそこは地獄の一丁目、そして花の結び目。時実新子という女はいったい何者か。ベストセラーとなった句集『有夫恋』が生まれる道程で何が起きたのか。その自伝がここにある。

目次

吉井川河口に生まれ育つ。少女時代に知る地獄篇。戦時下の女学校生活。敗戦・破恋、新たな地獄に嫁いで嫁・妻・母となる十代の新子。そして知った、川柳の魅力。
「伸びよ新子」―徳三の励ましを受けて新子は己れの表現を解放し翔び立とうとする。作家としての自意識が昂揚し奔放さもまた烈しく―女・新子の句の世界へ。
波が寄せ波濤となってうねり狂う中で吐瀉し慟哭する表現。新子句の昂まりが招く数多の批難、罵評。強靱な詩魂が既成川柳を支配する男社会とのたたかいを開始する。
女を、愛を、人生を―凝縮・観照させて生まれる新子の句。讃辞と嘲笑の渦の外で「新子」をわがものとする人々が着実にひろがっていく。二十代から三十代への表現の昂揚が句集『新子』に結実して、波動はさらにうねりを呼ぶ。
句集『新子』への評価が広まり高まる。強烈な個性をもって現代川柳の創造と確立に生命を燃やす作家たちとの出会い。協同と確執、連帯と崩壊の時代の中で新子の表現はいよいよ燃焼し、研ぎ澄まされていく。
川柳における批判とは何か、作家とは何か。川柳界の錚々、俳人・詩人の新子観、作品論を貪欲に取捨して摂る新子。路郎、「番傘」と吟一、晋介、蒼之助、俊平、芳味等の個性と動き、新子の反応。〔ほか〕