内容説明
“SS”―宇宙空間に突如出現した謎の物体。真径一・二光年、長さ二光年という、人類の技術をはるかに超えた存在を、一体何者が何のためにつくり上げたのか?AE(人工実存)の研究者・遠藤を中心とした探査計画は、AE・HE2によるSSとのコンタクトをはかる。しかし遠藤は突然の死を遂げ、HE2からの通信も途絶えてしまう。プロジェクトは頓挫したかに思われるのだったが…。新たな“宇宙史”の幕が今、上がる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
48
時間が空いたので、もう一度、読み返す。気になったのは欠点で、大きなことを描くのは得意だが、人間関係など小さなことを描くのは下手だということだ。人間関係を描くのは、最近の作家の方が上手い。しかし、それらの作家が大きな画を描くことはない。小松の世代は戦争で社会が無くなった。その世代にとって、大きな画を描くことは時代的な要請だった。この長所短所が入れ替わった小松世代と我々の変化を考えると、共にAE(人工実存)を考えていても、描いている画は異なるものなのではないか。2023/02/10
ころこ
36
実存というひとつの人格としてのAEとは、今でいうシンギュラリティ物の汎用AIのことでしょう。実現の条件には、言語習得のために少なくとも身体が必要ですが、他方で、老境に入った小松が託すのは自分の分身としてのAE、つまり不死への欲望があるのも明らかです。不死のAEは滅する身体の存在が条件であるという矛盾を抱えており、そのAEは必ずしも自分の分身ではなく、一個の人格として、元の殻を食い破り外部へと飛び出そうとするという矛盾も抱えています。2019/08/31
市太郎
35
小松左京の未完の大作。人に貰って読みはじめる。所々、専門的であったり、哲学的なところもあり。SF初心者には難しさを感じるがストーリーは今のところシンプルで、宇宙に突如現れたSSという名の未確認物体に人類が向かっていくというもの。遠藤はAIを超えるAEを作り出し宇宙へ送るが、アンジェラEの存在に、男女の物語へと繋がる可能性を感じたり。私自身の想像力の欠如が憎い。読み終えてからじっくり考察してみたい。2019/09/27
kochi
16
地球から約6光年離れた場所に突然現れた、長さ二光年の円筒状構造物SS。太陽系内への進出を始めたばかりの人類は、SSの謎解明のため、総力を上げて恒星間探査船を建造し、遠藤が開発したAIの進化形であるAE(人工実存)を搭載して送り出す。遠藤の分身とも言うべきAEは、彼の死と共に、独自の行動を… 小松左京の遺作と言うことを、本書を読み終わってから知る、そうだっけ? とすると、一巻の色々な伏線(対となるAIアンジェラEとの関係や謎の自殺を遂げた科学者等)が回収されるのか!?と一抹の不安を感じながら二巻へと!2020/10/21
もちもちかめ
16
初めの数頁で挫折。これは。誰が誰のことをなんて言っているのか、読解できない。どんな時代の誰が何を話してるのかさっぱり分からない読めない。悲しみ。心の余裕があればまた再挑戦、もしくは小松先生の他の著作に挑戦したい。2019/12/11