内容説明
南無阿弥陀仏、ナムアミダブツ、ナンマイダー、ナマンダー、と唱えたら、大往生できる。そんなわけないと思いながらも頼ってしまう。六字の名号にこめられた悲しみを、寿徳山・最尊寺十六代目住職、永忠順という父から学んだ、寺生まれの寺育ち、正真正銘江戸ッ子十七代目の著者が綴る、ホロリ切ない半生自伝。
目次
1 合掌
2 南章
3 無章
4 阿章
5 弥章
6 陀章
7 仏章
8 合掌 あとがき
感想・レビュー
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ネギっ子gen
57
“寺の子”の真情を描いた巻頭の文章。「この2・3年で照れずに合掌出来るようになった。若い頃は思わず合掌した手を、まるで、両手をもみほぐしてでもいるようにして誤魔化したものだった」と。私は在家だが、この機微は理解できる。仏教系大学で、やはり自然の形での合掌が出来なかった記憶が……(読みながら、同じ“寺の子”武田泰淳和尚の『異形の者』を想起)。この文章の後、「本当に有難いと思うようになったのだ」と書いた直後に、「そう悟った上で、本当に感謝しているのかと自問自答すると、これも自信がない」と落とすのが、六輔流だ。2019/11/05
kinupon
29
板村真民の「二度とない人生だから」。さとう宗幸が歌っています。良い歌ですね。2016/08/19