出版社内容情報
着古した破れ外套のポケットに黄色の色鉛筆と、小さな手帳、それに一冊の新東京地図というのをしのばせた。これがすべてである。履き馴れた日和下駄と蝙蝠傘というあの三十六年前の「日和下駄」の雅士とはくらぶべくもない私の心と姿である。古きものは滅びる、新しきものは古びる。それは自然の理である
目次
1 漱石の坂、一葉の路地―上野・本郷・小石川・お茶ノ水界隈
2 谷崎のレストラン、藤村の待合―日本橋・両国・浅草・深川・築地界隈
3 馬琴の井戸、須磨子の墓―飯田橋・牛込・雑司ケ谷・早稲田・大久保界隈
4 荷風先生、今日はどちらへ―高輪・三田・麻布・麹町界隈