内容説明
「誇り」を失い、「恥」を忘れ、「善意」と「親切」で事に当たれば全てが解決すると錯覚している、幼稚な幼稚な日本人。その精神の弛緩と堕落の根本原因を直言する、三島賞受賞の気鋭による衝撃の日本人論。
目次
第1章 幼稚な幼稚な日本人
第2章 とても幼稚な日本の外交
第3章 世界一かわいそうな日本の子供たち
第4章 バカな日本人の「戦争」と「平和」
第5章 そんなに「生命」は大切なのか
第6章 「国民」より「国家」が大事
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
SOHSA
18
一見、過激なタイトルと小見出しの数々。しかし、その内容は非常に理性的で論理的だ。本書は現代の日本人に対する啓蒙・啓発の哲学書である。思考の深淵にまで至る努力をせず、与えられた価値観をそのまま受け入れただ生きるだけの日本人に対する辛辣な語り掛け、呼び掛けである。当たり前と思われていることをもう一度取り出して、きちんと検証し或いは問い続け、真偽を証明することの重要性を著者は説いている。そしてそうした努力をしない現代日本人のことを「幼稚」「バカ」と評しているのだ。2013/04/23
inukumagorou
6
日経新聞記事に著者の文章の引用があり興味を持って手にした。期待通りの内容で、著者自身があとがきに100人いたら99人は共感できず拒否反応を起こす、ただし残り1人のために書く、といった趣旨のことを書いている。僕は明らかに後者の方で、だから世間であちこちぶつかるのだ、ということがよくわかった。彼が「国家」という言葉で表現しようとしていることは、僕がいつも「歴史」と言っていることとほぼ同義ではないかと思った。日本の将来は老若男女、すべての日本人がこの本を「大人になって」読めるかどうかにかかっている気がする。2012/02/21
しょうたろう
6
石原都知事がよくこの本のことを語っているので気になって読んでみました。日本人は公(ここでは国)を忘れ、個に重きを置いてしまった。本著ではこれを"幼稚"としていた。全く持って著者の考えに賛成で、私の考えとも合致した。2012/02/20
めっかち
4
三十年前の論考だが、今日でも読む価値あり! 福田和也さんは、日本が「女子供」ばかりになったという。「女子供」とはもちろん精神的な意味。例えば、戦争は悪だという「実感」を命題にすり替え、国家を語れる政治家がいなくなった点を指摘する。リベラルが衰退し、保守が迷走する昨今、日本人の幼稚化は進行してるようである。これからますます日本は大変なことになるだろうが、そんな中で昨年福田さんが早逝されてしまったのは実に惜しまれる。2025/06/02
まりも
4
極めてまともな内容。と同時にだからこそ今の日本人のある一部分には受け入れられない内容。とりあえず一度読んで見られてはどうか。当たり前すぎるが、これが受け入れられない現状が嘆かわしい2012/04/29