感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
7
教育を力の場(界)と捉え、成績評価の中立性の中に出身階級の格差を再生産する国家の象徴的暴力を暴く前巻に続き、本巻ではデータを駆使して官僚養成するグランゼコールを頂点とした前世紀後半のフランスの階級格差の再生産過程を詳細に辿る(本書執筆時ミッテラン政権の要請でコレージュ・ド・フランス教授陣の中心にいた著者は、未来への教育に関する提言をまとめる)。界と国家の対立関係を前提とする本書の能力主義(メリトクラシー)批判は、60年代教育大衆化や68年5月革命を経て、さらに国家の界への権力介入が強化される点を注視する。2024/06/02
ひろゆき
3
国家権力が資本家と労働者という生産関係の再生産を目指すなら、その権力の支配下の中で、どのようにひとはそれを普通に受け入れる心構えを得るのかという点についてのな研究。アルチュセールの視点を社会学者として実証的に述べていると言ったら私は単純に見てるのかしら。フランスの複雑にみえる学校制度はわかりにくいが、人生に目標があることを当然とし、時間を区切っての勉学、その結果の選別は日本でも共通するところ。日本の教育を同様の視点で斬る本はないのか。エリートの日常を再構成したり、異端経営者に触れたりの補遺も面白。観察眼。2018/05/14
ぷほは
2
『遺産相続者たち』や『再生産』と何が違うかというと、これら二作よりもよりエリート教育制度の広範な影響を論じており、例えば「1968年」的な学生叛乱の結果としての改革も、却って社会階層のますますの格差を助長することとなっていたことなどが『ホモアカデミクス』などの分析を継承するかたちで論じられていくようだ。今巻の資料でかなりフランスの教育制度について補足説明がされており、これだけでも十分お勉強にはなるだろう。例えばグランドゼコール各校「主な卒業者」の欄にカルロス・ゴーンや片山さつきの名前が出てくるのはウケる。2019/02/16
ishimps
0
重厚…2012/07/18
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