感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スターライト
4
『司書になった本の虫』で取り上げられた、江戸中期の女性、只野真葛。前掲書では彼女の著書「独考」が紹介され、儒学や男尊女卑の風潮への疑問が書かれていると知り、さらに彼女について知りたくなり、本書を手に取った。只野真葛の生い立ちや経歴、蘭学者をはじめとした知識人との交流、武士階級から見た町人への批判がどのようにはぐくまれてかのかが、著者の探訪記とあいまって重層的に浮き彫りにされていた。「独考」はあまりに過激な思想を含むため、その草稿を見せられた曲亭馬琴に痛烈に批判されたが、早すぎる進歩的思索者として光輝く。2022/05/22