内容説明
徳川幕府のもと、太平の世が続いたいわゆる江戸時代。身分制度秩序のなかで、女性の顔が見えにくい時代ともいわれる。自然の理として男女の役割が引き受けられて「家」意識は一般化、女訓書による女性教化が進む。しかし一方、これまでの歴史から抜け落ちてきた関係存在としての女と男を、民衆宗教や芸能に、江戸女流文学に見ることで「爛熟する女と男」の近世を描き出す。
目次
1 心性の諸相―宗教・文芸・教化(芸能における女性;民衆宗教における女性;江戸の出版にみる女性像―浮世絵師・渓斎英泉を中心に;江戸女流文学史の試み;上杉鷹山の女子教訓―教化の諸相;ことわざと女性史)
2 家・婚姻の基層(家と婚姻の基層を探る―第2部のはじめに)