目次
序にかえて 二十年後
第1章 この本を焼くべきか?
第2章 学部の争い
第3章 資本の種類と権力の形態
第4章 集団の防衛と均衡の破壊
第5章 危機的瞬間
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
10
学生が蜂起したフランス5月革命(1968)から20年近く経って、文化・象徴資本を再生産する大学を対象に、学部の配置や学部間の権力構造を界のせめぎ合う力の場として捉えた本書では、著者自身も本書の読者の多くが大学権力に属することも念頭において、対象の内部において対象と自己をどう客体化する努力を続けるか、という反省性のテーマが前面に押し出されている。認識に属する反省性を著者は、カンギレムらのように科学史的参照軸を採らず、社会調査を通して集団において正統性の権力を構成する知のバイアスに抗うように認識を練り上げる。2024/05/18
ぷほは
3
底意地の悪さと僻み根性が爆裂しているブルデューの平常運転だが、原著刊行の1984年はちょうど日本で「フランス現代思想」の消費が極まっていた頃であり、本国のアカデミズムでどのような問題として考えられていたのかという点が示唆に富む。地味に巻末データ概要も面白く、名簿や紳士録を大量に集めながら、そのどれが使えるのかを吟味している様子は参考になる。またインタビューのジャーナリストとの大人気なさすぎる問答も非常に笑える。背筋も凍るような韜晦と分析が、腹を抱えるほどの洒脱さや滑稽さと両立しているのだから手に負えない。2018/10/25
Toshiyuki S.
0
前提知識(学術的な)が足りないのか、フランスの大学事情に疎いからなのか、はたまた訳の問題か(そもそも文章が読みにくい)、とても難しかった。大学「界」の空間の構築と、それにもとづく「五月革命」時の大学関係者の政治態度の分析が本書の主題だが、五月革命について詳しく知らないので、あまりよく分からなかった。大学「界」の形態変化(学生の増加)にかんする議論や、それが引き起こす階級脱落の危機(とそれへの抵抗)についての議論など、部分的に面白いと思える箇所もあった。2016/02/05