内容説明
本書は、現代における経済学の支配的潮流である新古典派パラダイム批判の書である。現代経済学は、固有の経済的諸問題(失業、インフレーション、為替レートの乱高下、産業の空洞化など)だけでなく、広い意味での経済社会問題(エコロジー、ジェンダー、高齢化社会、人口増大など)にいたるまで、有効な処方箋を作成できないでいる。その原因は、現代経済学の分析枠組みの要である、「完全な合理性」といういわば現実から遊離した概念にある。それに代わって本書が主張するのは、現実の特定の状況のなかに位置づけられた合理性である。つぎに本書は、その誕生から現在にいたるまで、20年に及ぶレギュラシオン理論研究を全体的に総括し、これからの展望を提示している。また本書は、現代経済学の鳥瞰図を提示している。
目次
序 新しい経済学の胎動
1 回顧と展望
2 マルクスの知的遺産
3 発想の隠れたルーツと外延的発想の豊かさ
4 レギュラシオン研究の最前線
5 現代経済の四大争点
6 現代経済学との対峙
7 経済学の全体性の回復
8 理論から政策へ